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公的医療保険の前歯と自由診療のセラミックの違い

2018.07.17

公的医療保険の前歯と自由診療のセラミックの違い

まず、写真のように、大きな違いは見た目です。 公的医療保険でも前歯は白い歯を入れることはできます。ただし、白い部分はプラスチック樹脂でできていて、透明感は少なくなります。また、長期間使用していると、プラスチック製のお弁当箱のように変色してしまうため、だんだんと白さが失われてしまい、色も隣に並んだ天然の歯に合わせるといった細かい色調再現も難しいです。

これに対し、セラミックの前歯は透明感があり、ツヤも良く、色も専門的な技術を持った歯科技工士が作るので、見た目を天然の歯に近くすることができます。また、ご希望であれば芸能人のような白い歯にすることもできます。

だからといって公的医療保険の歯が決して粗悪なものでは無いということを、制度も踏まえて改めて理解していただきたいとも思っています。
治療を受けたとき、窓口で治療費用の3割(高齢者の場合は1~2割)を支払いますが、残りの7割は国の税金から支払われます。
そのため、公的医療保険が適用される人工の歯は耐久性を重視したものというのが前提になってきます。

もっと分かりやすく説明すれば、あるAさんという人がいたとしましょう。
Aさんはきれい好きで、ほんの少しでも前歯のプラスチックが変色することが気になってしまい、3ヵ月ごとに前歯を変えたいと思っています。
しかし、公的医療保険の制度上では、1度前歯を入れると、最低2年間はどんなに汚れても公的医療保険を使っての前歯の作りかえはできません。 (※ 公的医療保険の前歯→自己負担でのセラミックの前歯への作り変えはいつでも可能です。)
これは公的医療保険の制度でできる対応の範囲として定められたものとなります。

セラミックを長持ちさせるには

せっかく高いお金を出して手に入れたきれいな歯(セラミックの歯)も、お手入れ次第では、短期間でだめになってしまうか、長期間の維持ができるかが分かれてきます。そのためにも、装着後のメインテナンスが重要となります。
どんなに高級な車だとしても、オイルやタイヤの交換といったメインテナンスをせずに走り続けられないのと同じです。

よくあるトラブルとして挙げられるのは以下のようなものです。
【1】歯茎が腫れた
【2】セラミックが割れた(欠けた)
【3】セラミックの差し歯が外れた
専門家としても、絶対に割れない、外れないという審美治療は事実上不可能だと言えます。
しかし、定期的なメインテナンスをきちんと行うことでトラブルのリスクは最小限に抑えることができます。

歯も定期的なメインテナンスを行うことがセラミックやジルコニアでできた人工の歯を長持ちさせる秘訣になります。
また重要なのは、転勤などのやむを得ない事情がない限りは、できるだけその人工の歯を入れてもらった歯科医院でメインテナンスを受け続けることをおすすめします。
理由は、どんな施術をしたかによって、メインテナンスで気をつけることが歯科医院によって少なからず違うからです。

また、審美治療を受ける際には、可能な限り通える範囲(電車で片道1時間ぐらいの範囲をおすすめします)の歯科医院で行うことも大切だと思います。
これは前歯のセラミック治療(特にセラミック矯正)では、歯を抜く、神経を抜くという処置が必要となることがあるからです。
歯を抜いたけど血が止まらないなどのトラブルがあったときはどうしますか?
通える範囲の歯科医院なら、緊急枠で診てもらうこともできるかもしれません。しかし、遠方の歯科医院の場合、直ぐに診てもらうことは難しいです。

審美治療を行えば、歯に関するコンプレックスから解消され、毎日が自信に満ちた将来になるかもしれません。
しかし、ほんのわずかではありますが、治療中の様々なリスク(血が止まらない、痛みが止まらない、前歯の仮歯が外れたなど)が考えられることも知っておいてください。
そんなときでも、責任ある対処をしてくれる歯科医院が、本当の意味での良い歯科医院だと言えるかと思います。

HPなどで掲載されている治療前後の写真だけで治療を受ける歯科医院を検討するのではなく、たとえ有料であっても、実際に治療を任せる歯科医師に事前にカウンセリングを行ってもらうこともおすすめします。
さらに治療中や治療後も、責任のある対応や治療を行ってくれる歯科医院を探して治療を受けることが大切ではないでしょうか。私はそのように考えながら治療を行っています。

歯茎が変色しないセラミック

以前はセラミック治療と言えば、メタルボンドが主流でした。
構造については、図をご覧ください。

ここでフレームとなる金属素材にはデメリットとなる部分がありました。
金属が歯茎と接することでイオン化し、それが原因となり歯茎を変色させてしまう性質があったのです。そのため、歯は白くてきれいなのに対し、歯茎は黒っぽく変色してしまう場合がありました。

当時の技術でもなんとか克服しようと、様々な試行錯誤がなされてはいましたが、完全に歯茎の黒ずみを避けることは難しいことでした。
※余談ではありますが、公的医療保険適応の前歯には強度確保のために金属が使われます。

徐々にセラミックの強度を高める技術が進歩してきたことで、人工の歯にも変化が出てきました。
そこで登場してきたのが、2ケイ酸リチウムのセラミックやジルコニアです。これらの素材によって金属に近い強度の素材を確保できるようになりました。
とくに、 ジルコニアは白く、ダイヤモンドに近い硬さもあります。これにより金属を使用しない、歯茎が変色しない被せ物が登場したのです。

ここまで読むと、ジルコニアが一番良い素材であるように思えてきますが、物事は何にでもデメリットがあります。

ジルコニアは原価が高いほか、デメリットとして以下の2点を挙げられます。
【1】 2ケイ酸リチウムのセラミック素材に比べると、透明感が落ちる
【2】 硬く加工が困難なため、3Dプリンタ(削りだし用の機械)が必要となる

3Dプリンタでの造形というと、より細かいものを作れると思うかもしれません。しかし、カラーコピーした写真が、元の写真と全く同じかというと、そうではないのと同じように、歯科技工士の技術で形合わせたもの(メタルボンド、2ケイ酸リチウム)と比較して、フィット感に欠けてしまう場合があり、そのため被せ物が外れてしまうことがあります。

もっと分かりやすく例えると、お寿司屋さんで大トロと中トロを比較すると、大トロの方が値段は高いですが、脂っこすぎるのが苦手な方にとっては、中トロの方がおいしいと感じる感覚に近いかと思います。

ですので、「ジルコニア=高い歯」ではありますが、「ジルコニア≠誰にでも最適な歯」だということを理解していただき、それぞれの素材の特性を熟知している、信頼のおける歯科医師に治療や使用する素材の選択をお任せすることが、結果的には患者様自身が満足できる仕上がりに近づけられるのではないかと考えます。

記事ご協力
院長 : 向野 敏也

大阪中央審美ホワイトニングサロン ミント歯科

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