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奥歯が欠けたのに痛くないのはなぜ?理由と放置した場合のリスクを解説

奥歯が欠けてしまったけれど痛みがない場合には、なぜだろうと不思議に思いますよね。痛みがなく生活に支障をきたさないのであれば、 時間があるときに歯科医院で診てもらおうと考える方も多いのではないでしょうか。

この記事では、なぜ奥歯が欠けたのに痛くないのかを解説するとともに、応急処置の方法や、治療を受けずに放置した場合のリスクなども詳しくご紹介します。

掲載日:2024/9/30

奥歯が欠けた 痛くない なぜ

奥歯が欠けたのに痛くないのはなぜ?

奥歯が欠けたのに痛くない場合、既に虫歯が進行して歯の中の神経が死んでいることが考えられます。
歯の内部には歯髄と呼ばれる神経組織があり、歯髄はエナメル質・象牙質(ぞうげしつ)・セメント質という硬組織に覆われています。虫歯が進行すると硬組織を突き抜けて歯髄に達し、強い痛みとともに神経を破壊していきます。
虫歯によって神経が死ぬと、痛みや温度を感じなくなるため、歯が欠けても症状が出ません。
このほか、奥歯のエナメル質のみが欠けたとも考えられます。エナメル質は歯を覆う最表層の組織で神経が無く、削ったり欠けたりしても痛みを感じることはありません。歯の硬組織のうち、外部からの刺激によって痛みを感じるのは、主にエナメル質の内部にある象牙質です。

奥歯が欠けたのに痛くないからと放置した場合のリスク

奥歯が欠けたのに痛くないからと放置した場合のリスク

奥歯が欠けたときに「痛みもないため問題ない」と自己判断するのは危険です。放置した場合には、以下のようなリスクがあります。

欠けた部分から虫歯になる

健康な奥歯のエナメル質が欠けた場合、磨きにくく欠けた部分から虫歯になる可能性があります。

残った歯の位置が変化する

歯が欠損すると、噛み合わせの変化が起こります。 たとえば、下の奥歯が大きく欠けてしまうと、噛み合っていた上の奥歯は下の奥歯と噛もうとして伸びることがあります。
歯の位置に変化が生じると、時間が経つにつれて噛み合わせがずれていきます。虫歯・歯周病・顎関節症などを引き起こすリスクも高まります。

知覚過敏が生じる

奥歯が欠けると、通常はエナメル質に覆われている象牙質が露出してしまうことがあります。 すると、冷たい物・甘い物を食べたときや、歯ブラシが当たったときなどに、歯がしみたり痛んだりします。いわゆる知覚過敏の症状です。

顎関節症になるリスクが高まる

奥歯が欠けたまま放置していると、ほかの歯の位置が変化していき、噛み合わせや歯並びが悪くなることがあります。 噛み合わせのずれは顎関節にも悪影響を及ぼすことがあり、顎関節症になるリスクが高くなります。

奥歯が欠ける主な原因4つとは?

そもそも奥歯が欠けてしまった原因としては、以下の4つが挙げられます。

①虫歯

奥歯が虫歯になっていた場合、歯が脆くなり欠けやすい状態だったと考えられます。
虫歯が進行し象牙質にまで達すると、象牙質が虫歯菌が出す酸で溶かされ、奥歯の内部が空洞になっていることがあるのです。歯は脆い状態にあるため、食べ物を噛んで欠ける場合があります。
また、虫歯によって歯の神経が死んでいる場合も、歯に栄養供給が無く脆く欠けやすい状態になります。

②歯ぎしり・食いしばり

睡眠中の歯ぎしり・食いしばりは、歯に大きな負荷がかかります。歯がすり減るだけでなく、欠けてしまうこともあります。

③外傷

転倒や衝突をはじめ、スポーツ時の怪我、交通事故に遭った際などに、強い衝撃で歯が欠けてしまう場合があります。

④酸蝕歯(さんしょくし)

飲食物に含まれる酸や胃酸によって溶かされた歯を、酸蝕歯といいます。 ジュース・炭酸飲料・スポーツドリンク・栄養ドリンク・アルコール飲料などには多くの酸が含まれていて、日常的に過剰に摂取していると酸蝕歯になりやすいです。
酸蝕歯は、歯を覆う最も硬いエナメル質が多く溶かされた状態になり、健康な歯より欠けやすいです。

奥歯が欠けたときに自分でできる応急処置

奥歯が欠けた場合、まずは自分で応急処置を施しましょう。奥歯が欠けたときの注意点も含めて解説します。

欠けた部分を舌や指で触らない

欠けた部分を舌や指で確認したくなりますが、歯が欠けて尖っている場合もあり、むやみに触ると怪我をする恐れがあります。 また、舌や指で触ることで痛みを感じたり、歯の状態を悪化させたりするリスクもあるため、気になっても触らないようにしましょう。

欠けた歯を適切な方法で保存する

欠けた歯は捨てることなく、歯科医院に行くまで保存しましょう。乾燥させないことが大切なため、生理食塩水または牛乳の入った容器に入れて保存します。 飲み込まないように気をつければ、頬の内側に抜けた歯を入れておく方法もあります。
また、水道水には塩素が含まれるため、欠けた歯を水道水で洗ったり保存したりしないようにご注意ください。 欠けたり抜け落ちた歯を1~2時間以内に持っていければ保存できる可能性が高まります。

痛み止めを服用する

奥歯が欠けて痛みが出てきた場合、痛み止めを服用しましょう。市販のもので問題ありません。

できるだけ早く歯科医院を受診する

奥歯が欠けた場合、自然治癒することはなく、歯や噛み合わせが悪化するリスクが高まります。 痛みがなくても放置せずに、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。処置が早いほど、大切な歯を守ることにつながります。

奥歯が欠けたときの歯科医院での治療方法

奥歯が欠けたときの歯科医院での治療方法

奥歯が欠けたときに歯科医院を受診する場合、一般的に以下のような治療が行われます。

小さく欠けた場合

欠けた範囲が小さければ、レジンという歯科用プラスチックを使って歯を修復します。この場合、公的医療保険適用の治療が可能です。
また、欠け方によっては、元と同じように欠けた歯を接着できる場合もあります。

中くらいに欠けた場合

歯が中くらいに欠けた場合、詰め物か被せ物による治療が行なわれる可能性が高いです。
公的医療保険適用の治療では、金属やレジン、CAD/CAM冠(白めの被せ物)といった素材が用いられます。 ただし、奥歯は強い力が加わるため、審美性と耐久性を両立させたい場合には、ジルコニアやセラミックを使った自由診療適用の詰め物・被せ物が適しています。

大きく欠けた場合

奥歯が大きく欠けた場合も、歯の神経に影響がなければ、神経を保護したうえで詰め物や被せ物による治療が行なわれます。
一方で、神経を残せないと歯科医師が判断した場合には、神経を除去する必要があります。 神経を除去した歯は脆くなるため、歯の内部をきれいに洗浄したうえで薬を入れて土台を被せて蓋をします。最後に被せ物をして治療完了です。

まとめ

奥歯が欠けたにもかかわらず痛くない場合は、虫歯が進行して神経が既に死んでいることが考えられます。歯の表面を覆うエナメル質のみが欠けている場合も、多くは痛みを感じません。
奥歯が欠けたときには、欠けた部分を舌や指で触らないよう注意し、欠けた歯を適切な方法で保存するなど、自分でできる限りの応急処置をするようにしましょう。
欠けた部分は自然治癒することはなく、噛み合わせなどに問題が生じるリスクがあるため、早急に歯科医院を受診するようにしましょう。
この記事で「奥歯が欠けたのに痛くないのはなぜ?」というあなたの疑問や不安が少しでも解消されたら幸いです。

【監修歯科医師】

総監修 歯科医師:古川 雄亮 先生
  • 歯科医師:古川 雄亮 先生
  • 国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事
  • 歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加
  • 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
    [参照URL] https://www.nature.com/articles/s41598-019-51077-0
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記事提供

この記事は、株式会社メディカルネット(東証グロース上場)の提供でお届けしております。社内の歯科医師、及び、歯科衛生士、歯科技工士による監修のもと記事の作成を行っております。

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