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差し歯の裏側が黒い原因と治療法

「歯科治療の際に差し歯を入れたが、最近になって裏側が黒く見えていることに気づいた。入れてからしばらく問題もなかったのに、何が原因なの?」そんなお悩みを抱えている方はいませんか。

差し歯が原因で歯肉が黒ずんでしまう可能性はありますが、理由はさまざまです。今回、差し歯の裏側が黒く見える5つの原因と、差し歯の裏側が黒くなった場合の6つの治療法について、詳しく解説します。

掲載日:2024/10/04

差し歯の裏側が黒い原因と治療法

差し歯の裏側が黒いのは珍しくない?

差し歯にすると、歯茎が黒く変色したり、歯と歯茎の間が黒く見えたりすることがあります。「メタルタトゥー」や「ブラックマージン」と呼ばれ、差し歯を入れた際には少なからず発生する可能性があるものです。

差し歯の裏側が黒くなってしまったとしても、症状に応じて適切な治療法を行うことによって、ある程度症状を軽減することが可能なケースがあるため、状態を最初に正確に把握することが重要です。

▶差し歯について詳しくは『「差し歯」ってどんな治療?前歯に適した被せ物の素材について教えます!』の記事をご覧ください。

差し歯の裏側が黒い!原因は何?

差し歯の裏側が黒くなる原因は、差し歯が直接的に関係するものから、生活習慣が影響を与えているものまで多岐にわたります。差し歯の裏側が黒ずんで見える5つの理由について、具体的に紹介していきます。

差し歯から金属イオンが溶け出ている

差し歯には金属が使われていることが多く、中には裏側の部分に金属が使われている差し歯があります。金属が常に歯肉に触れている状態になると、金属イオンが歯や歯肉に対して溶出します。結果的に歯肉の色が黒ずみ、歯肉が黒く見える「メタルタトゥー」と呼ばれる原因となります。

また、歯に溶け出した金属イオンが、歯の根っこ(歯根)にある象牙血管に入り込んだ結果、歯根が黒く変わってしまうことがあります。そのような状態になった後に歯茎の後退などが起こると、黒くなった歯根が見えるようになり、差し歯の上部に黒い部分が確認できるようになります。

差し歯の内側の金属が見える

差し歯の土台や被せ物として用いられた金属が酸化を起こすと、その部分に使われていた銀が黒く変色することがあります。その状況で歯茎が痩せてくると、酸化した部分が外から目に入るようになり、歯と歯茎の間が黒ずんで見えてしまうケースが存在します。

金属が腐食して黒くなった部分が見えるようになる現象は「ブラックマージン」といい、差し歯により歯茎が黒ずんで見える要因の一つであると考えられています。

虫歯になっている

差し歯の金属が原因ではなく、虫歯の影響によって歯肉が黒ずんでしまうケースがあります。虫歯の中には痛みが生じないタイプがあり、差し歯になっている歯には神経が存在せず、そもそも虫歯による痛みを感じることがないため虫歯になっていることに気付くのが遅くなる点には注意が必要です。

虫歯の箇所に食べ物や飲み物の色素が沈着することによって、その部分が茶色や黒色に変色します。そのような状態になると、歯肉の退縮などの影響で前から確認でき、歯肉が黒く見えるようになります。

食べ物や飲み物、喫煙による着色汚れ

食べ物や飲み物の影響によって、差し歯に着色や汚れが残ってしまうことがあります。色の濃い食べ物やコーヒー・紅茶などによって、差し歯が着色した状態のままでクリーニングなどを行わずに放置してしまうと、その部分が黒ずんで見えるかもしれません。

また、喫煙による血行不良の影響で歯肉の色が黒くなってしまう危険性があり、飲食物だけでなく、タバコにも注意する必要があります。

差し歯の裏側が黒い場合の治療法

差し歯の裏側が黒い場合の治療法

差し歯の裏側が黒くなったとしても、症状に応じた適切な治療法を受ければ、着色を改善することが可能かもしれません。差し歯の裏側が黒い際の治療法は以下の6つです。

差し歯の土台を非金属の物に変える

差し歯の土台となる部分を、樹脂の白い材料を用いたものに金属から変更することによって、金属イオンが歯肉に溶出するリスクを回避し、歯肉が黒く見える可能性を減らすことができます。

土台に金属が使われていないタイプの差し歯であれば、金属の影響で歯肉が変色したり、差し歯の金属が使われている部分が外から見えることもありません。差し歯を入れる際の見た目が気になるのであれば、治療時に使用する材質に気を配ることによって、満足のいく仕上がりになる可能性を高められます。

差し歯の被せ物を非金属の物に変える

土台の部分と同様に、差し歯の被せ物にあたる部分に関しても、非金属のものを用いることによって、歯肉が黒くなることを防げます。内側に金属を使っているタイプの差し歯には金属イオンが歯肉に溶けだすリスクが伴います。

具体的には、オールセラミックやジルコニアセラミックの被せ物によって、金属に由来する歯肉の変色に悩まされずに済みます。これらは保険適用にならないため、治療費はやや高額になりますが、とりわけ審美面を重視する人の場合、検討する価値は大いにあると考えられます。

歯科用レーザーを照射する

歯科用レーザーを照射することによって、黒い色素沈着を取り除くことが可能なケースがあります。長年にわたって蓄積・沈着した場合でも、歯科用レーザーを使うことで、少なからず改善を図ることができるかもしれません。

さらに、歯科用レーザーは歯肉に溶出した金属イオンや金属粒子を、ある程度除去することも可能です。差し歯の金属の影響で歯肉が黒ずんでしまった場合に効果を発揮することが期待できる治療法です。

虫歯治療を受ける

虫歯は自然治癒しないため、歯科医院で治療を受ける必要があります。また、虫歯の影響で歯肉が黒ずんでいるケースの場合は、虫歯を治療することによって、歯肉が変色している状態を改善することができる可能性も出てきます。

たとえ患者さん自身に虫歯の自覚がなかったとしても、気付かないうちに痛みが発生しないタイプの虫歯の可能性があります。何か気になる点がある場合は早めに歯科医院に足を運び、必要に応じて適切な治療を受けられるようにしておきましょう。

黒い歯石を除去してもらう

歯石は患者さん自身の歯磨きで取り除けません。歯科医院で専用の機械を用いて、歯石を除去することができます。

黒い歯石は歯の根っこ部分に発生しやすい特性を持ちます。黒い歯石がある場合は、歯周病治療の必要があります。

歯をクリーニングする

差し歯の表面についた汚れや着色は、歯科医院におけるクリーニングで落とすことができます。専用の器具を使うことによって、差し歯の表面にダメージを与えることなく汚れを除去することもできるため、差し歯の汚れが目立つ際には、歯科医院で治療を受けることをおすすめします。

ただし、クリーニングで改善できるのはあくまで差し歯の表面部分における汚れのみであり、素材そのものが変色している場合は、抜本的な対処が難しいこともあります。また、差し歯の種類や材質によっては、過度な研磨が表面を傷つける事態につながる可能性もあるため、担当医とよく相談したうえで、適切な処置を行ってもらうようにしましょう。

まとめ

差し歯の裏側が黒く見える原因として、差し歯から金属イオンが溶け出ている、黒い歯石が付いている、虫歯になっている、飲食物などで着色しているといったものが挙げられます。具体的な治療法には、差し歯の土台や被せ物を非金属の物に変えるレーザー治療を受ける、黒い歯石を除去してもらう、虫歯を治療するなどの手段が存在しています。

歯肉が黒く変色する原因を患者さん一人で判断するのは非常に困難です。歯肉が黒ずんでいる理由を明確にするためにも、まずは歯科医院に足を運んで医師に相談し、状況に応じた正しい対処が受けられるようにしましょう。

【監修歯科医師】

総監修 歯科医師:古川 雄亮 先生
  • 歯科医師:古川 雄亮 先生
  • 国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事
  • 歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加
  • 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
    [参照URL] https://www.nature.com/articles/s41598-019-51077-0
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記事提供

この記事は、株式会社メディカルネット(東証グロース上場)の提供でお届けしております。社内の歯科医師、及び、歯科衛生士、歯科技工士による監修のもと記事の作成を行っております。

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