ダイレクトボンディングを前歯で行うデメリットとメリット
虫歯や歯が割れて歯を削った後、レジンというプラスチック(樹脂)を詰める治療を受けることが多いです。保険診療に「コンポジットレジン」修復という治療があり、ダイレクトボンディングという丁寧に時間をかけてレジンを詰める自費の治療があります。
どちらもレジンを使うものの、使用する器材や治療時間が異なり、仕上がりの美しさや長持ちに差が出ます。
ダイレクトボンディングは、審美性を求められる前歯で行われます。その場合のメリットとデメリットを紹介します。

この記事の要約
- 経年劣化や自費診療になるというデメリットがある
- 仕上がりが美しく、歯を大きく削る必要がないメリットがある
ダイレクトボンディングを前歯で行うデメリット
前歯の形態を自費のコンポジットレジン修復(ダイレクトボンディング)で治療する場合、経年劣化による黒ずみなどのデメリットがあります。
経年劣化する
ダイレクトボンディングによって歯の形態が白く綺麗になったところは、生涯にわたり美しいままではありません。時間の経過によって黒色や茶色に変色していきます。
治療に高度な技術が求められる
ダイレクトボンディングは、歯の表面に直接樹脂を詰めます。歯の形や色調を作るのも歯科医師の技術に依存する施術です。ダイレクトボンディングの経験や技術が治療の精度や見た目の良さにかかわるので、歯科医院の選択が重要です。
基本的に公的医療保険適用外となる
ダイレクトボンディングは公的医療保険適用のレジンとは異なるため、基本的に公的医療保険が適用されない自費診療になります。価格の相場としては1本あたり2〜5万円で、セラミック治療より安い傾向です。
2024年10月 株式会社メディカルネット調べ
ダイレクトボンディングを前歯で行うメリット
前歯をダイレクトボンディングで修復する場合、歯を大きく削らず審美性を回復できるなどのメリットが考えられます。
美しい仕上がりが見込める
歯に合わせて丁寧に色調を整えます。歯の持つ透明感も適度に出すことができ、自然に見えます。前歯のように目立ちやすい歯でも、治療したことがほとんどわからないように仕上げられることも多いです。
歯を大きく削らずに済む
セラミック治療は補綴物(ほてつぶつ)を適合させるために歯を大きく削る必要があります。ダイレクトボンディングは詰める治療なので、被せ物の治療のように歯を大きく削ることがありません。削られることによる歯の寿命への影響を少なくできます。
当日中など短期間で治療が終わる
前歯のすきっ歯を改善しようとした場合、矯正治療であれば部分矯正で数ヵ月かかります。セラミック治療は矯正治療ほどではないものの、歯型をとって被せ物を作って入れるため数週間から数ヵ月かかる場合があります。 ダイレクトボンディングは歯科医院の方針や症例によりますが、別日に研磨などする必要がなければ、基本的に1日で治療を終えられます。
ダイレクトボンディングの流れ【4STEP】

ダイレクトボンディングは短期間の治療ですが、治療時間を確保して丁寧に進めます。治療の流れを解説します。
STEP①カウンセリング・診断
ダイレクトボンディングは短期間で終わる治療ですが、患者さんの歯に適応できるか見極める必要があります。治療前にカウンセリングと検査で治療できると診断した場合、費用や治療期間が伝えられます。
STEP②型取り(必要な場合のみ)
小さな歯の修復で色合いの調整が少なければ、歯型を取る必要はありません。すきっ歯の改善などのように歯の形をしっかりと整える必要のある場合、歯型を採ります。患者さんから得られた歯型で模型を作製し、治療前に歯のデザインを設計します。これによって精度が高くきれいな歯の色合い・形態を再現します。
STEP③レジン充填
患者さんの歯に合うようにレジンの色調を選びます。色合いがぴったりくるように複数の材料を重ねながら歯の形や色合いを整えます。
STEP④調整・仕上げ
充填した直後のレジンは、明るく白く見えます。歯科医院や症例によりますが、後日に微調整や研磨して仕上げます。長くきれいな白さをキープするために、メンテナンスも受けると良いでしょう。
ダイレクトボンディングの寿命
ダイレクトボンディングの寿命は、4〜6年とされています。ただし、保険診療のコンポジットレジンの寿命が2〜3年であることを考えると、長持ちしやすいといえます。精密に治療をすることで仕上がりに差が生まれ、長持ちすると考えられます。
前歯のダイレクトボンディングの費用
ダイレクトボンディングは自費診療になります。保険診療より高額になり、費用の相場は1本あたり2〜5万円です。前歯のすきっ歯を修復する場合、2本分の治療で4〜10万円かかるかもしれません。
矯正ですきっ歯を改善しようとすると、10〜70万円はかかる可能性があるので、検討しやすい金額だと言えるでしょう。
ジルコニアは強度と審美性が高いメリットのある一方、自費診療で費用が高くなり、歯を大きく削る必要もあるなどのデメリットがあります。ジルコニアを検討する際はメリットとデメリットをよく理解したうえで検討し、わからない点については歯科医師に相談しましょう。
2024年10月 株式会社メディカルネット調べ
まとめ
ダイレクトボンディング(自費のコンポジットレジン修復)のデメリットは、経年劣化してしまうこと、治療には高度な技術が必要になる、自費診療になるため費用が高い、3つが挙げられます。
一方で、丁寧に治療するため審美性が高い、歯を大きく削る必要がない、当日で治療を終えられる場合が多い、メリットもあります。
前歯は目立ちやすいため、審美性をより追求したい方もいます。治療を受けてから後悔しないよう、ダイレクトボンディングの特徴を理解したうえで歯科医師と相談し、ご自身に合った治療方法を選ぶことが大切です。
【監修歯科医師】

- 歯科医師:古川 雄亮 先生
- 国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事
- 歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加
- 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
[参照URL] https://www.nature.com/articles/s41598-019-51077-0
記事提供
この記事は、株式会社メディカルネット(東証グロース上場)の提供でお届けしております。社内の歯科医師、及び、歯科衛生士、歯科技工士による監修のもと記事の作成を行っております。
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