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ジルコニアの歯で後悔したくない!知っておくべきメリット・デメリット

「虫歯治療の後に被せ物治療を受けたいと思って調べたところ、「ジルコニア」という素材が良さそうに感じた。ジルコニアを入れた後に後悔している人もいるけど、何が理由なの?」そんな疑問をお持ちの方はいませんか。

ジルコニアには多くのメリットがありますが、デメリットもあります。今回、主に使用される3種類のジルコニアの違い、ジルコニアのメリットと4つのデメリット、後悔しないための4つのポイントを解説します。

掲載日:2025/01/15

ジルコニアの歯で後悔したくない!知っておくべきメリット・デメリット

この記事の要約

  • ジルコニアはセラミックの一つであり、高い強度と耐久性を持つ。着色しにくく、見た目も自然
  • ジルコニアと噛み合う部分にある天然歯が削れやすく、後から調整するのが難しい、公的医療保険適用外で治療費が高くなりやすいといった点が主なデメリット
  • 経験豊富な歯科医師を選ぶ、治療後はメンテナンスや定期検診を欠かさず受けることが大事

ジルコニアの歯で後悔しないために知っておくべき基礎知識

ジルコニアはセラミックの一種です。そのため、ジルコニアを用いた治療は広義のセラミック治療です。

ジルコニアはセラミックの中でも、耐性が高い点が特徴です。それに加えて、天然歯に近い色調や透明感を持つため、違和感のない仕上がりになります。

ジルコニアにはさまざまな種類があり、メリットとデメリットが異なります。重視するポイントやお口の中の状態によって、どのジルコニアを選択するか異なります。

ジルコニアの種類

治療で用いられているジルコニアの種類としては、以下の3つです。

フルジルコニア

フルジルコニアはその名の通り、ジルコニアだけを用います。高い耐久性を備えていますが、単色で構成されているため、他のジルコニアに比べて審美面で自然さに欠けます。これらの性質から、負担がかかりやすく見えにくい奥歯に適しています。

プレミアムジルコニア

プレミアムジルコニアは、ジルコニアの表面に審美性の高いセラミックを焼き付けた素材です。ジルコニアが持つ強度とセラミックが持つ審美性を両立でき、外から見えやすい前歯に適用することも可能です。ただし、フルジルコニアに比べるとやや強度が低下してしまう点には注意が必要で、ジルコニアやセラミック単独よりも価格が高いです。

ジルコニアステイン

ジルコニアステインは、ジルコニアに対して天然歯の色に近い素材です。フルジルコニアと同様の強度を保ちながら、フルジルコニアの欠点だった審美面の改善を図れます。前歯と奥歯に対して使える点が特徴的です。

ジルコニアとセラミックの違い

ジルコニアはセラミックの一種ですが、セラミックとは異なる点があります。ジルコニアはセラミックよりも強度があります。審美面においてはセラミックよりも劣ると考えられています。

セラミックは金属を併用する場合があるため、金属アレルギーを持つ患者さんにとってリスクが生じることになります。ジルコニアはアレルギーが発生する可能性が低いため、ジルコニアが持つメリットの一つです。

フルジルコニアインレー

ジルコニアの費用相場は、素材や治療範囲によって変動します。ジルコニアを使用した治療は基本的に公的医療保険の適用外となるため、治療費は高額になりやすいです。

治療費の相場は、ジルコニアを詰め物に用いる場合は1箇所あたり5〜10万円、被せ物に使用する場合は1本あたり8〜15万円です。ジルコニアセラミックは最も治療費が高く、次いでジルコニアステインが高額となる点も頭に入れておくといいでしょう。

ジルコニアの歯のデメリット

ジルコニアを使用する際には、いくつかのデメリットがある点に留意しましょう。ジ4つのデメリットを解説します。

審美性がやや劣る

ジルコニアはセラミックと比較して、審美性がやや劣ると考えられています。ジルコニアの技術は日々進歩しており、審美面は徐々に改善されつつありますが、外から見て目立ちやすい前歯などの箇所に適応する場合や、治療の際に見た目を重視する必要がある患者さんは注意しましょう。

噛み合う歯に負担がかかりやすい

強度がある点はジルコニアが持つ長所ですが、ジルコニアとかみ合う場所にある歯に大きな負担がかかります。ジルコニアと噛む歯がすり減り、歯の寿命を縮めてしまう可能性も出てきます。

加えて、歯に負担がかかって、お口を開いた際に顎に痛みが生じたり、お口が開きにくくなったりする「顎関節症」の症状が出る可能性がある点にも注意が必要です。

調整しにくい

ジルコニアを入れてから、噛み合わせの問題などで調整が必要になった場合、通常の歯科用ドリルで削って形を整えることが難しいです。

また、ジルコニアを取り外す必要が生じてしまうと、取り外しの際に歯も割れてしまったり、隣接する歯にダメージを与える危険性がありきます。ジルコニアを装着後も、何らかのトラブルが発生するリスクがあります。

費用が高い

ジルコニアは公的医療保険適用外になり、使用する素材が高額です。機械による精密な作業が作製で必要となり、治療の際に高度な技術が求められるため、治療が相応の金額となることが一般的です。

1本ではなく複数の歯を治療する場合は、さらに治療費が上がります。治療後のメンテナンスにも治療費が必要となることを含めて、治療前の段階で金銭面の負担も考慮しておきましょう。

ジルコニアの歯のメリット

ジルコニアの歯のメリット

ジルコニアには特に機能面と審美面でのメリットが大きいです。ジルコニアを使用することで得られる可能性があるメリットを5つ紹介します。

強度が高い

ジルコニアは他の素材に比べて、高い強度が大きな強みです。硬いものを食べる際などにしっかりと噛める治療法です。

ジルコニアは耐久性にも優れ、長い期間、変形や変色が生じにくく、質の高い治療結果が期待できる点も大きなメリットです。

天然歯に近い見た目にしやすい

プレミアムジルコニアやジルコニアステインを適応すると見た目を天然歯に近づけることが特徴です。ジルコニアは透明感を備え、天然の歯と同じように見える色合いを実現できます。

さらに、ジルコニアによって歯の色だけでなく、表面の質感も、天然歯に近い仕上がりにすることが可能です。

汚れが付きにくい

ジルコニアは変色や着色に強く、飲食物を摂取した際に色がついてしまう可能性を減らせます。さらに、経年劣化の影響も受けにくいため、長期間変色しにくい点もポイントです。

ジルコニアには歯垢が付着しにくい点も大きな特徴です。歯周病や虫歯が発生する可能性を低下し、虫歯の影響で歯が変色するケースも防ぎやすくなります。

アレルギーを起こす可能性が低い

被せ物などに用いる素材に金属が含まれている場合、金属イオンが溶けだしてアレルギー症状が出ることがあります。ジルコニアは金属アレルギーを引き起こす心配がほぼありません。金属アレルギーを持つ患者さんや、お口の中に金属を入れたくない患者さんに適した素材です。

貴金属材料のような価格変動が少ない

貴金属の材料を用いた素材の場合、市場の動きによって貴金属の価格が大きく変わってしまい、治療費が本来より高額になってしまうことがあります。ジルコニアのようなセラミックを用いた素材は価格が変動する可能性は少なく、治療費が急激に上昇してしまうリスクも低いです。

ジルコニアの歯で後悔しないためのポイント

ジルコニアを入れた後に何らかの理由で後悔するのは可能な限り避けたいです。紹介する5つのポイントを意識して、ジルコニア治療を成功させられる可能性を高めることができます。

天然歯を削る必要性を理解する

セラミックを使用する際には、被せ物を入れる際の土台となる歯を大きく削る必要がありジルコニアも同様です。歯を削ることによって歯の寿命が短くなり、歯が破損しやすくなるリスクを受け入れたうえで治療を受けましょう。

ジルコニアは非常に高い強度を持つため、歯を削る量を通常のセラミックスより抑えられます。ジルコニアならではのメリットも頭に入れ、自分にとって適切な治療法を選びしょう。

経験豊富な歯科医師を選ぶ

ジルコニア治療には高度な技術が必要になるため、治療を担当する歯科医師の技量や知識も重要になってきます。そのため、治療を始める前に医師の治療実績を調べ、治療を受ける歯科医院で使用されている材料や機器も確認しましょう。

また、公益社団法人 日本補綴歯科学会が認定する「補綴専門医」や、特定非営利活動法人 日本咬合学会が認定する噛み合わせの専門医といった資格を有する歯科医師であれば、補綴や噛み合わせの治療に関する経験や知識が担保されます。ホームページにアクセスして、これらの資格を確認することによって、質の高い治療を受けられる可能性を高めることができます。

メンテナンスや定期検診を欠かさない

ジルコニアを長く使い続けるためには、メンテナンス(アフターケア)が必須になります。自宅では毎日欠かさず丁寧な歯磨きを行い、場合によっては歯間ブラシや糸ようじのような歯ブラシ以外の器具も用い、可能な限り汚れを落としましょう。

治療後は歯科医院へ定期的に足を運びメンテナンスを受けることも大切です。ジルコニアの破損や変色、歯の隙間の増大や噛み合わせの問題が生じていないかに加えて、虫歯や歯周病が発生しているかを確認し、何らかのトラブルが生じた場合は速やかな対応を受けるため、専門医のチェックを一定のペースで受けることは重要です。

歯ぎしりや食いしばりの癖がある人は事前に対策する

ジルコニアは非常に強度が高いものの、かかる力の大きさによっては噛む歯が欠けたり割れたりするケースもあります。歯ぎしりや食いしばりがある場合、ジルコニアに過剰な負荷がかからないように、マウスピースの装着や噛み合わせの調整が必要です。

具体的には、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりをケアするためにナイトガードを導入したり、歯ぎしりなどを誘発するストレスに対処しておくことが望ましいです。せっかく入れたジルコニアを破損から守るためにも、日常生活にも注意しましょう。

まとめ

ジルコニアは強度に優れた素材で、着色にも強く、天然歯に近い見た目です。しかし、ジルコニアと噛み合う部分の歯に大きな負担がかかり、公的医療保険の適用外であるため治療費が高くなりやすい点が主なデメリットです。

ジルコニアを入れて後悔しないために治療経験が豊富な歯科医院を選んだり、治療後のメンテナンスを欠かさないといったポイントを意識することが重要です。ジルコニアに関する疑問や不安がある場合は、あらかじめ歯科医院に足を運んで専門医に相談して、納得したうえで治療を進めていくことをおすすめします。

【監修歯科医師】

総監修 歯科医師:古川 雄亮 先生
  • 歯科医師:古川 雄亮 先生
  • 国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事
  • 歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加
  • 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
    [参照URL] https://www.nature.com/articles/s41598-019-51077-0
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記事提供

この記事は、株式会社メディカルネット(東証グロース上場)の提供でお届けしております。社内の歯科医師、及び、歯科衛生士、歯科技工士による監修のもと記事の作成を行っております。

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