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子供の虫歯を治療したら歯が黒くなったのはなぜ?

皆さんは、子供の頃に虫歯ができたときに、歯医者さんで「虫歯の進行を薬で抑えましょう」と言われた経験はありませんか?虫歯といえば削るイメージがあるけれど、 薬を塗るだけ。それは、もしかしたら「フッ化ジアンミン銀」というものを含んだ薬の塗布かもしれません。フッ化ジアンミン銀には、 虫歯の進行を止める効果がありますが、虫歯の部分が真っ黒になるという問題も…。真っ黒になった歯は白くなるの?永久歯に使うことはあるの?などの疑問にお答えします!

掲載日:2021/1/15

子供の虫歯を治療したら歯が黒くなったのはなぜ?

フッ化ジアンミン銀とは

虫歯の進行を抑制するため「フッ化ジアンミン銀」と呼ばれる薬を塗ることがあります。 フッ化ジアンミン銀には殺菌効果があるほか、知覚過敏を防ぐ効果もあります。使われる薬液の商品名から、 サホライドなどと呼ばれることも。 フッ化ジアンミン銀の特徴として虫歯の部分にフッ化ジアンミン銀を塗布すると黒く変色します。 虫歯の抑制効果が高く、海外(特に発展途上国)では頻用されている薬品です。

治療のときの機械音が苦手なお子さんや、じっとしていることができないお子さんは虫歯の治療が困難です。
フッ化ジアンミン銀は、歯に薬を塗るだけなのでプレッシャーが少なく済み、子供が安心して治療を受けられます。 フッ化ジアンミン銀は特有の苦みや臭いがあるため、歯科医師は舌につかないように注意しながら塗布します。

また、フッ化ジアンミン銀は通院が難しい高齢者に使われることがあります。 歯科医師が自宅に訪問するため十分な治療器具を確保できない場合や、歯科治療に対して拒否がある場合、長時間の治療に耐えられない場合に使われる傾向にあります。

永久歯では、義歯やブリッジ、被せ物などを支えるために形を整えた自分自身の歯(支台歯)に塗り、虫歯再発の予防として使用されることもあります。

歯に使用するときは、溶液を染み込ませた綿球を3~4分ほどかけて塗っていき、最後にうがいをします。症状や治療する歯の本数などによって、治療の時間や回数などは異なります。

黒くなった歯の色は戻せるの?

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フッ化ジアンミン銀は虫歯の進行を抑えるというメリットがある一方、デメリットもあります。それは、虫歯の部分を黒く変色させてしまうというものです。 これは、歯に銀が沈着してしまうことによって起こるものです。
乳歯であればいずれ永久歯に生え変わるほか、後に生えてくる永久歯にフッ化ジアンミン銀による黒変の影響が出ることはありません。
むしろ乳歯の虫歯を治療をせずに放置してしまうと、永久歯に影響が及びます。
乳歯の虫歯であればサホライドを塗布することを検討してみても良いでしょう。

しかしフッ化ジアンミン銀による黒変は時間が経過したら白い歯に戻ることはありません。歯磨きやクリーニング、ホワイトニングで取り除けるものではないのです。
(肌についたフッ化ジアンミン銀の色は、肌の代謝によって次第に落ちます。)
永久歯にフッ化ジアンミン銀を塗布する場合は、歯科医師や塗布するお子さん、患者さんとよく相談して決める必要があります。 歯の色がどうしても気になる場合、詰め物や被せ物などによる対応が必要になると考えられます。下記で詳しく述べます。

Point 黒い歯が気になる場合

乳歯はそのうち永久歯に生え変わるとはいえ、演劇やピアノの発表会など大切な思い出の写真には子供を可愛く写してあげたいのに、歯が黒くてどうしても気になる!ということもあるかと思います。
フッ化ジアンミン銀によって黒くなった歯はホワイトニング歯磨き粉や歯の消しゴムスポンジなどの市販のホワイトニング用品、歯科で行うホワイトニングでは白くすることができません。
「どうしてもこの日は歯を白くしたい!」というときは、「歯のマニキュア」を黒いところに塗って白く見せる方法もあります。ただし、食事や会話によってマニキュアが剥がれることがあるので注意が必要です。また、臭いや味などのついている歯のマニキュアもありますので、使う際にはお子さんとよく相談して使いましょう。

大人になっても黒い歯が残っている…白くする方法は?

もし、永久歯にフッ化ジアンミン銀を塗布をした場合や、先天的に永久歯が欠損しており、フッ化ジアンミン銀を塗布した乳歯が残存している場合には、 大人になってもフッ化ジアンミン銀によって黒くなった歯が残っていることがあります。

お友達とのおしゃべりや仕事の場、イベントなどの時にお口の中に黒い歯があると口元が気になって笑うのをためらってしまうこともあるかもしれません。
黒変の範囲が小さければ、黒い部分を削ってコンポジットレジンと呼ばれる歯科用プラスチックによって修復するという治療もあります。
コンポジットレジンは白い材質なので歯の色に溶け込むというメリットがあるものの、プラスチック製のため経年により変色が見られるというデメリットがあります。

ほかにも、黒変している歯にセラミックを被せることによって自然な白い歯にすることができます。
セラミックは白く美しい色調が特徴で、自分自身の歯に近い自然な色合いで作成できます。また、劣化しづらく変色しづらいという特徴があるので、美しい白さを長く保つことができます。
セラミックによる治療は患者さんが全額自己負担する自費診療ですが、審美性の高さなどは優れているといえるので、白い歯にしたいという希望が強い方は、検討してみてはいかがでしょうか。

また、前歯の軽度な黒変であれば、つけ爪のような薄いセラミックを前歯に貼り付ける「ラミネートベニア」という治療できれいに見せることができます。
「目立つ前歯だけ、気軽にきれいな色になれたら…」というお悩みに適応した治療といえます。

フッ化ジアンミン銀によって黒くなった歯も、治療によって自然な白い歯にできるかもしれません。黒い歯が気になる方は、歯科医院で相談してみましょう。
目的や予算、気になっていることなどを先生にしっかり伝えることで、患者さんの希望に合った治療方法を選択しましょう。

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フッ化ジアンミン銀治療を受けるときのポイント

フッ化ジアンミン銀を使った虫歯治療を受けるときはいくつかのポイントがあります。

・使うのは永久歯か乳歯か
フッ化ジアンミン銀は子供のうちに使うことが多いため、乳歯に使うと思いこんでしまいがちですが、お子さんによって乳歯の生え変わる速度は異なります。 既に永久歯に生え変わっている歯ではないかどうかをよく確認しましょう。 また、先天的に永久歯が欠損している場合、乳歯が長くお口の中に残ることになります。 永久歯があるかどうかは一定の年齢になっていればレントゲンで確認できますので、気になる方は歯科医師に相談して、 永久歯があることを確認してからフッ化ジアンミン銀治療を受けるとよいでしょう。

・どの部分の歯に使うのか
どこに虫歯があり使うのかを確認しましょう。自分自身の見た目を気にするお子さんもいます。 前歯が黒くなったことでふさぎこんでしまう可能性もあります。もちろん虫歯の治療は大切ですので、保護者の方は十分な確認の元、治療を受けましょう。

・汚れてもいい服で
特に動いてしまいやすいお子さんはフッ化ジアンミン銀を使って処置をしている時に、 歯科医師の手にぶつかってしまうことなどがあります。歯科医師は十分な注意の元行っていますが、服に薬液が付着してしまう可能性がありますので、 汚れてもいい服で受診すると安心です。

・嗅覚や味覚に過敏のあるお子さん
フッ化ジアンミン銀は独特の臭いと苦い味が特徴的です。舌につかないように注意して使用しますが、過敏なお子さんは臭いや味に気が付いて拒否をすることもあります。
過敏反応のあるお子さんの場合は、事前に歯科医師にご相談ください。

・金属アレルギー
フッ化ジアンミン銀には、銀が含まれているため、銀アレルギーの患者さんには使用ができません。
金属アレルギーのある患者さんは、事前に銀に対してのアレルギー反応の有無を確認する必要があります。

フッ化ジアンミン銀を使った治療ができない場合、リラックスして治療が受けられる笑気麻酔や静脈内鎮静法を併用しながら行うこともあります。 詳細はかかりつけの歯科医院にお問い合わせください。

【監修歯科医師】

総監修 歯科医師:古川 雄亮 先生
  • 歯科医師:古川 雄亮 先生
  • 国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事
  • 歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加
  • 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
    [参照URL] https://www.nature.com/articles/s41598-019-51077-0
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記事提供

この記事は、株式会社メディカルネット(東証グロース上場)の提供でお届けしております。社内の歯科医師、及び、歯科衛生士、歯科技工士による監修のもと記事の作成を行っております。

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