審美治療と矯正治療の違いとは?
矯正歯科と審美歯科、それぞれの違いをご存知でしょうか?どちらも歯並びがきれいになりそうなものだけに、大きな差がないように思われるかもしれません。
しかし、矯正歯科と審美歯科の治療目的・ゴールには実は大きな違いがあります。そのため患者さんは自分が希望していることを明確にしたうえで、歯医者さんに相談しなければなりません。
そうでなければ、本来は矯正歯科を受けるべき悩みだったにもかかわらず、審美歯科を受けてしまった、ということにもなりかねません。
矯正歯科と審美歯科の違いを知り、希望するお口になるための歯科治療を受けましょう。
審美歯科とは?
審美歯科はその名のとおり、口元の審美性、つまり美しさに重点を置いた歯科治療になります。主に被せ物やホワイトニングの治療により、歯の色や形を整えることで、
歯を輝くような美しさに変えていきます。
歯並びが悪い場合、矯正歯科とは異なり、セラミックやジルコニアなどの人工歯を被せることで、歯根を動かさずに歯並びを良く見せることがあります。
矯正歯科で噛み合わせや歯並びを重視する方法とは、大きく異なります。
また、矯正歯科は長期的な治療になることが多いのに比べ、審美歯科ではできる限り短期間で歯を美しくすることを目指します。
矯正歯科は数年かかるケースが多く見られますが、審美歯科は多くの場合、半年以内には治療が完了します。
このほか、矯正歯科には見られない審美的な歯科治療としては、ホワイトニングでしょう。ホワイトニングは特殊な薬剤を塗ることで歯を白くする治療方法で、歯を漂白して白くすることができます
(市販のホワイトニング剤は汚れを落として歯の本来の色を取り戻す方法です)。大事なお仕事やイベントを控えている方などがホワイトニングを受けるケースが多いようです。
矯正歯科とは?
矯正歯科は、歯に力をかけて噛み合わせや歯並びを良くするための治療方法です。
噛み合わせを調整する目的は、単に歯並びを良くすることだけではありません。食べ物をしっかり噛めるようにすることで消化が良くなるほか、顎関節症の予防・改善など、
全身の健康にも大きく寄与すると考えられています。そのため、口元を美しくすることが目的というよりも、咬む機能を良くすることを重視とした歯科治療といえるでしょう。
このほかに審美歯科と異なる特徴として挙げられるのが、治療にかかる時間です。審美歯科はなるべく早く口元を美しくすることが目的であり、短期間で治療が完了します。
しかし、矯正歯科では歯並びを根本から改善させるため、矯正装置を使い長い時間をかけて歯根を動かしていきます。患者さんの状態にもよりますが、2~3年かけて歯を動かし、
さらに後戻りしないようリテーナー(保定装置)と呼ばれるものを取り付ける期間が設けられるなど、長い時間がかかります。
矯正歯科で使用する装置の中には、歯の裏側に取り付ける装置や、歯の色に馴染んで目立たない装置、それに透明なマウスピース型の装置など、審美性に配慮したものもあります。しかし、矯正装置を取り付ける必要があるという点では、必ずしも装置を必要としない審美歯科とは異なるポイントだといえるでしょう。
まずは理想のお口を具体的に考える
「口元をきれいにしたい!」と考えていても、矯正歯科と審美歯科、どちらの方が自分に適しているか判断するのは難しいでしょう。 その場合、まずは歯をどうしたいのか、どのような口元にしたいのか、目的やゴールを明確にしてみましょう。
「歯並びを改善して健康な歯になりたい」「自分自身の歯を長く健康に使いたい」という場合は矯正歯科で自分自身の歯を動かして歯並びや噛み合わせ、 力のバランスを整えることが適しているといえるでしょう。歯は1ヶ月に1mm程度しか動かないため、長期的な治療が必要となるケースがほとんどです。
「短期間で歯をきれいにしたい」「歯並びだけでなく歯の形や白さを整えたい」「芸能人のような整った歯にしたい」といった場合は審美歯科が適しています。
審美歯科治療では、被せ物によって歯並びを整えるため、歯の形や白さも希望をかなえることができます。
また、矯正歯科治療とは異なり、歯移動は無いため、短期間で理想の歯並び、理想の歯の形にすることが可能です。
被せ物が出来上がるまでは仮の歯をつけることができるため、見た目が気になる期間も短くできます。
審美歯科か矯正歯科を選ぶポイントですが、治療期間が長くなっても良いのか、それともなるべく早く歯並びや歯の形をきれいにしたいのか、矯正装置を取り付けることをいとわないか、 歯を削ったり抜歯したりすることになってもよいか、といった点があります。
歯並びをきれいにするにはどっちを選んだらいいの?
「歯並びをきれいにする」という場合でも、「歯を移動させる」のか「歯を削ってセラミックなどの人工歯をつけてきれいにする」のか、といった選択になります。つまり、患者さんの希望、期間、
費用などにより、希望する歯並びをどのように手に入れるかが変わります。
ご自身で決めるのが難しい場合は、上記項目をメモしておき歯科医師に相談しましょう。疑問に思うことや、お口の中で気になることがあれば全て伝え、治療のメリットデメリットをよく聞きましょう。
患者さんの希望をかなえられるのが矯正歯科なのか審美歯科なのか、歯科医師とじっくり話しながら決定します。
ご自身の希望を明確にしたうえで照らし合わせ、治療にかかる時間や費用なども比較し、選択の材料とするのが良いでしょう。
治療の目的に合わせて選びましょう
審美歯科と矯正歯科は一見似ているように思う方もいるかもしれませんが、審美歯科と矯正歯科は目指すところが異なります。大切なのは、ご自身が希望とする口元になる治療を選択することです。
中には「費用も治療期間も問題がないので矯正歯科を選びたいけれど、口元の美しさも追求したい」と考えている方もいるでしょう。
矯正歯科を行う歯医者さんの中には、審美にも力を入れているところがあります。インターネットやお住まいの地域などで探し、一度相談をしてみると良いでしょう。
人の表情は、目元や口元が大きく左右すると言われています。調査によっては、好感が持てない口元として「歯の汚さや歯並び」を挙げる人が60%以上もいたというデータがあります。
歯並びや見た目を変える治療は、お口の将来や印象が変わる治療です。
ご自身の口元で気になるのが歯並びなのか、歯の色なのか、かみ合わせなのか。どちらの治療を選択されるか、しっかりと検討してみてください。
【監修歯科医師】
- 歯科医師:古川 雄亮 先生
- 国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事
- 歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加
- 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
[参照URL] https://www.nature.com/articles/s41598-019-51077-0
記事提供
この記事は、株式会社メディカルネット(東証グロース上場)の提供でお届けしております。社内の歯科医師、及び、歯科衛生士、歯科技工士による監修のもと記事の作成を行っております。
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