フッ化物洗口とは?正しく使用して子供の虫歯を予防!
虫歯の予防に効果的だとされているフッ素。
フッ素は歯磨き粉に含まれているだけではなく、フッ化ナトリウム溶液でうがいをするフッ化物洗口という方法があります。
お子さんが将来虫歯にならないように、健康な歯を守ってあげたいですよね。
もちろん、フッ化物洗口は大人の虫歯予防にも効果的ですよ。
フッ化物洗口は間違った使い方をすると思わぬトラブルになることもあります。
フッ化物洗口の効果と注意点を知り、正しく使って虫歯を予防しましょう!
フッ化物洗口とは?
フッ素が虫歯の予防に効果的であるということは既に広く知られていますね。
「フッ素で虫歯予防」と聞くと、フッ素入り歯磨き粉を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
実はフッ素による虫歯予防は歯磨き粉だけでなく、フッ化物洗口という方法があります。
フッ化物配合歯磨き粉やフッ化物塗布と一緒に取り入れることで、より虫歯予防効果を上昇させることができるんです!
フッ化物洗口とは、歯磨き粉と比較して濃度の低いフッ化ナトリウム溶液で30秒~1分ほどぶくぶくうがいをするだけという簡単な方法です。
ぶくぶくうがいができるようになる4歳頃のお子さんから取り入れてみてくださいね。
フッ化物洗口は子供の頃に行うことがより効果的であるといわれており、保育園・幼稚園・小中学校などで学校保健として取り入れられている事も多いようです。
フッ化ナトリウムの粉末を歯科医院で処方してもらうか、薬剤師さんがいる薬局で購入することで、ご家庭でも取り入れることができますよ。
フッ化物洗口はフッ化ナトリウムの濃度によって使用頻度が異なり、毎日洗口するものと週に1回だけ洗口するものがあります。
まずは歯科医院で相談し、使用するフッ化ナトリウム洗口液の濃度に注意して使用してくださいね。
フッ化物洗口で得られる効果
では、フッ化物洗口では具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。
虫歯は、砂糖などの炭水化物を代謝して虫歯菌が作り出す酸により歯の構成要素であるカルシウムやリンが溶け出すことで起こります(これを「脱灰(だっかい)」といいます)。
通常は、時間が経つにつれて唾液中のカルシウムやリンが歯に取り込まれる「歯の再石灰化」によって脱灰した部分が修復されます。
脱灰は誰でも起こっている現象ですが、この脱灰と再石灰化のバランスが崩れ、脱灰が進んでしまうと虫歯になるのです。
フッ素はこの「再石灰化」を促進する効果があるため、虫歯の予防効果があるというわけなのです。
また、歯のエナメル質や象牙質は「ハイドロキシアパタイト(ヒドロキシアパタイト)」という結晶構造をなしています。前述の通り、フッ素やリンから構成されています。
このハイドロキシアパタイトにフッ化物が作用することで「フルオロアパタイト」へと構造が変化します。 フルオロアパタイトは虫歯菌が作り出す酸に溶けにくいため、虫歯になりにくい歯になるんです。
そのほかにも、フッ化物は虫歯菌が酸を作る働きを抑制するといわれています。
これらのフッ素の働きから、フッ化物洗口で虫歯になりにくい歯になる効果が期待できますね。
子供の場合
お子さんのフッ化物洗口は、ぶくぶくうがいができるようになる幼稚園・保育園児(4歳頃)から取り入れることでより高い予防効果が期待できるとされています。
子供の歯である乳歯は、永久歯に比べてエナメル質が薄く柔らかいので虫歯になりやすく、虫歯になった場合の進行も早いのです。
早い段階からフッ化物洗口をして歯質を強化することで、虫歯になりにくい歯を作ることに繋がります。
乳歯が既に生え変わってくる4歳頃から、永久歯へと生え変わり永久歯の石灰化が十分になるとされる中学校卒業までフッ化物洗口を継続的に行うことがおすすめです。
大人の場合
フッ化物洗口は子供のころから取り入れることで高い効果が期待できますが、大人になってからでは効果がないわけではありません。
フッ素の働きである再石灰化の促進や歯質を強化する働きは十分に期待できます。
また、大人の場合は年齢を重ねるにつれて歯茎が下がり、歯と歯茎の間の虫歯や歯の根の虫歯(根面う蝕)が増加する傾向にあります。
近年ではフッ素はこうした歯と歯茎の間の虫歯や根面う蝕の予防効果があるという報告もあり、大人になってからフッ化物配合の歯磨き粉に加えてフッ化物洗口を取り入れることも効果的であるといえますね。
お子さんがフッ化物洗口を始めるタイミングで、ぜひ一緒に保護者の方も始めてみてはいかがでしょうか。
フッ化物洗口は危険?
フッ素は危険である、使わないほうがいいという記事を目にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
確かにフッ素は大量に摂取すると副作用が起こる、急性中毒症状が起こるなどの危険性はありますが、誤った使い方をしない限り起こることは稀です。
特に歯科で使うフッ化物は、濃度は使用量を計算されたうえで決定されています。
フッ化物洗口では、1回の使用量は小さな子供が誤って飲み込んでしまっても中毒症状が起こることはないでしょう。 また、うがい後にお口の中に少し残るフッ化ナトリウム溶液を飲み込んでも大きな問題はありません。
不安な方は、週1回うがいをする方法の洗口液よりもフッ素濃度が低い、毎日うがいをする方法を選択することがおすすめです。
フッ化物洗口を行う時のポイント
ぶくぶくうがいはできる?
フッ化物洗口は、飲み込まずに吐き出すことができる年齢になってから始めましょう。
ぶくぶくうがいをすることでお口の中全体に洗口液を行き渡らせることができます。
ぶくぶくうがいができない子は、まずはうがいの練習から始めてみてくださいね。
子供の手の届かないところに保管
フッ化物洗口の1回の使用量は飲み込んでしまっても問題はないですが、大量に飲み込んでしまっては危険が伴います。
フッ化物洗口液は、子供の手の届かないところに保管しましょう。
子供の手の届きにくい場所に置くだけでなく、保管場所を知られないようにするなどしてみてくださいね。
子供から目を離さない
フッ化物洗口をしている間は子供から目を離さないようにしてください。
誤って飲み込んでしまっていないか、ぶくぶくうがいができているかなどを近くで見守ってくださいね。
また、フッ化物洗口が終わった後も時々様子を確認してください。
子供は体調が悪くなった時は、おとなしくなったり黙り込むなどで体調不良を伝える傾向にあります。
顔色が悪くなっていないか、いつもと違う様子はないかなどを気にかけておきましょう。
うがい後30分は飲食しない
フッ化物洗口後は、お口の中にフッ素が留まっている状態です。
洗口後にすぐに食べたり飲んだりしてしまうと、お口の中にあるフッ素が流れ出てしまいます。
洗口後30分はご飯やお菓子はもちろん、できるだけ水分補給も控えるようにしてくださいね。
万が一飲み込んでしまったら
飲み込んでしまった量が1回分であれば、吐き出させたり、急いで救急車を呼ぶ必要はなく、子供の顔色や体調を注視して様子をみてください。
2~3時間異変がなければ基本的には問題はないでしょう。
不安な場合は、牛乳を飲ませてみてくださいね。
牛乳は胃への刺激を軽減し、フッ素の吸収を抑制することができるといわれています。
もしも大量に飲み込んでしまった場合は、すぐに救急車を要請してください。
飲み込んでしまった量や使用している洗口液の濃度を正確に伝えられるようにしておきましょう。
場合によっては吐き出させ、入院して経過を観る必要があります。
飲み込んだ量が少量でも、子供に異変がある場合はすぐに受診してください。
まとめ
フッ化物洗口は、正しく使えば虫歯予防に大きな効果が期待できます。
子供のお口の中を守りたい、少しでも虫歯になりにくくしたい場合は、ぜひ日々のケアに取り入れてみてはいかがでしょうか。
フッ化物洗口に使われる濃度の洗口液は、医師の処方か薬剤師のいる薬局で対面販売されています。
それ以外のフッ化物配合洗口液(マウスウォッシュ)は濃度が異なり、期待する効果が得られない可能性がありますので注意してくださいね。
【監修歯科医師】
- 歯科医師:古川 雄亮 先生
- 国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事
- 歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加
- 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
[参照URL] https://www.nature.com/articles/s41598-019-51077-0
記事提供
この記事は、株式会社メディカルネット(東証グロース上場)の提供でお届けしております。社内の歯科医師、及び、歯科衛生士、歯科技工士による監修のもと記事の作成を行っております。
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