一般歯科と審美歯科の違いとは?~治療、費用、設備の違いについて~
歯の治療を受ける歯科医院。歯科医院それぞれで得意な治療や治療方針が異なるため、希望の治療やなりたいお口によって選ぶべき歯科医院は異なります。
では、お口の見た目を綺麗にしたい場合、歯医者さんを選ぶ時はどこに注目したらいいのでしょうか?
見た目を綺麗にしたい方には「審美歯科」がおすすめです。
ここでは「審美歯科」と「一般歯科」の費用や設備の違い、受けることのできる治療の違いなどをご紹介します。歯科医院を選ぶ際のポイントにしてみてくださいね。
一般歯科と審美歯科の違いってなに?
日本の法律では歯科が掲げることが許可されている診療科目は、一般歯科、矯正歯科、口腔外科、小児歯科の4科のみとされています。
では「審美歯科」とはどういう意味でしょうか?
近年でいう「審美歯科」はお口の機能の回復に併せて、歯を白くする、被せ物を使用して歯並びを綺麗にするなどの「審美的観点」をプラスして治療を行うことを目的とした歯科治療のことであり、
審美歯科という診療科目があるわけではありません。
「美容歯科」や「美容診療」と呼ばれることもあるようですね。
一般歯科では公的医療保険を適用して行う治療が行われます。
公的医療保険を適用しての治療は、いわゆる銀歯や入れ歯、保険で使用が認められた歯科用プラスチックを用い機能回復を図るもので、審美的観点を回復するための治療は行えません。
一方審美歯科では、歯の機能を回復するためにセラミックやジルコニアなどを使用することで自分自身の歯のような白さを取りもどしたり、 被せ物の作製の際に歯並びをきれいにするための治療計画も同時に進めるなど、見た目をきれいにするための治療も行います。
一般歯科と審美歯科で大きく異なるのは、お口の機能を回復する治療に併せて「審美的観点」も行うか、ということです。
一般歯科と審美歯科の費用の違いとは?
「一般歯科」とお口の機能に併せて審美的観点の回復も図る「審美歯科」では、費用が大きく異なります。
一般歯科
「一般歯科」は、基本的に公的医療保険で治療を受けることができます。 そのため患者さんは医療機関の窓口で治療に掛かった費用の1~3割負担を支払うことで治療を受けることが可能です。
審美歯科
公的医療保険は、審美的観点を回復させるための治療には適用ができません。 公的医療保険は、加入している全ての人が公平に医療を受けることができるようにするため、歯科では「お口の機能を回復するための治療」にしか適用ができないこととなっています。
そのため、審美的観点を回復するための治療を併せて行う「審美歯科」は、公的医療保険を適用して治療を行えないのです。
審美歯科は、治療に掛かった費用を患者さんが全額負担する自由診療でのみ行うことができます。
機能を回復するための治療費は公的医療保険を適用し見た目を綺麗にする審美治療だけ自由診療にできないの?と考えたくなりますが、 今の公的医療保険の制度では保険診療と自由診療を混ぜて行う「混合診療」となり、原則禁止されています。
審美歯科治療を併せて受ける部位は、お口の機能を回復させるための治療も自由診療で行う必要があるのです。
ただし、審美歯科治療を併せて行わない予定の部位の治療は、公的医療保険を適用させることができますので、 費用について疑問点がある場合は治療の計画を立てる際に歯科医師に相談してみましょう。
一般歯科と審美歯科の設備(材料や器械)の違いについて
一般歯科と審美歯科では、治療を行うための設備も異なります。
一般歯科
公的医療保険が適用される一般歯科では、公的医療保険を適用して行う治療のため、材料や器械に制限を設けていることがあります。 保険診療で求められた材料を利用して、被せ物や詰め物、入れ歯の治療などを行います。
また、被せ物を作製する技工所も、公的医療保険を適用して作る銀歯や入れ歯などを得意とする技工所と提携している歯科医院が多いでしょう。
審美歯科
自由診療での治療では使用する材料や器械に制限がありません。 そのため、審美歯科治療を行っている歯科医院では「審美的観点」を治療するための設備が整っている傾向にあります。
例えば、歯を白くするホワイトニングのための薬剤や光を照射するライト、黒ずんだ歯茎を綺麗にするガムピーリングのための薬剤やレーザーなどです。
また、人に見られずに治療を行うことができるよう、個室の診療室を用意している歯科医院も増えているようです。
そのほか、短期間でセラミックやジルコニアなど審美的な被せ物を完成させるために歯科医院内に独自の技工所を持っていたり、 審美的な被せ物の作製が得意な技工所と提携している歯科医院があります。
受けたいと考えている治療が、歯科医院の設備などの違いによって受けられないケースもあります。歯科医院の設備の確認や、事前のカウンセリングが重要ですね。
公的医療保険適用の範囲で、できる限りきれいにしたい!
自由診療と同じ治療とまではいかなくても、できる限りきれいな見た目にしてもらうことはできないの?と思う方も多いのではないでしょうか。
上記でもご紹介した通り、公的医療保険は加入している全ての人が平等に医療を受けることができるよう、 治療内容に制限が設けられています。見た目を綺麗にするための治療は、公的医療保険が適用されません。公的医療保険は患者さんの最低限のニーズに応え、 自由診療はニーズはもちろん見た目を良くしたいなどの願望にも応える治療です。
しかし近年では、一部の白い歯には公的医療保険が適用され始めています。 小さな虫歯の治療に使用される歯科用レジンは、ある程度白く治療ができると知っている方もいらっしゃると思います。
そのほかにも、前から3番目の歯までは、 ある程度白いプラスチックで作製できる「硬質レジン冠」および金属冠にプラスチックをつけた「硬質レジン前装冠」という被せ物が公的医療保険適用です。
また、2017年からは、患者さんのお口の中が条件をクリアした場合は前から4番目、 5番目の歯は「CAD/CAM冠」と呼ばれるセラミックとプラスチックの混合(ハイブリッドレジン)からなる被せ物が公的医療保険の適用となるなど、保険適用の範囲も日々変化しています。
全てを公的医療保険適用でキレイな白い歯にする事は難しいですが、公的医療保険と自由診療を組み合わせて計画してもらうことで、 費用を抑えて理想のお口へと治療を進められるよう、検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
「審美歯科」と「一般歯科」は、設備や費用など大きな違いがあります。
審美歯科治療を受けたい時は、治療後の自分のなりたい理想のお口をイメージしておくことが大切です。
なりたいお口へと近付ける治療を行ってくれる歯科医院や、治療を行える設備がある歯科医院を選ぶことが、なりたいお口になるための大きなポイントではないでしょうか。
また審美歯科は自由診療のため、歯科医院によって費用が大きく異なることがあります。なりたいお口をイメージしておくことで、カウンセリングや治療計画を細かに立てることができ、
費用を具体的に提示してもらえる可能性が高まります。
自分自身のお口のお悩みと、なりたいお口のイメージをしっかりと歯科医師に伝えてみてくださいね。
【監修歯科医師】
- 歯科医師:古川 雄亮 先生
- 国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事
- 歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加
- 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
[参照URL] https://www.nature.com/articles/s41598-019-51077-0
記事提供
この記事は、株式会社メディカルネット(東証グロース上場)の提供でお届けしております。社内の歯科医師、及び、歯科衛生士、歯科技工士による監修のもと記事の作成を行っております。
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