前歯の歯並びを整えたい!マウスピース利用した部分矯正
歯並びや噛み合わせを改善する目的で行う歯列矯正は皆さんご存知かと思います。 奥歯の噛み合わせに問題はなく、全ての歯を矯正治療せず出っ歯やすきっ歯など前歯の歯並びを改善するために、マウスピース型の装置を使用した矯正治療の部分矯正をご紹介します。
1. 部分矯正と全ての歯に行う歯列矯正の違い
歯列矯正には大きく2つに分けて、全顎矯正と部分矯正があります。
全顎矯正は文字通り、上顎と下顎の全体の歯並びや噛み合わせを整える治療です。一方、部分矯正は患者さんが治したい部分のみを矯正する治療となります。
全顎矯正と部分矯正のどちらも患者さんご自身で取り外しができないワイヤー矯正か取り外し可能なマウスピース矯正により受けることができます。
2. マウスピース型の装置を利用した部分矯正のメリット
部分矯正自体はマウスピースやワイヤーのどちらでも行うことは可能ですが、 マウスピースで行う装置のメリットがどのようなものがあるかを紹介していきます。
・治療費をおさえられる
ワイヤー矯正で部分矯正を行う場合、一般的に月1回の通院が必要となります。
マウスピース矯正の場合、月1回の通院をしなくても良い場合もあり、人件費をおさえられるため、治療費もおさえられます。
・通院頻度が少ない
マウスピース型の矯正装置であれば、交換用のマウスピースを渡されるので、自宅でマウスピースを交換して着用することが可能です。
そのため、従来のワイヤー矯正のように月1回の通院でなくても矯正治療を進めることができます。
ワイヤー矯正と比較して通院頻度が一般的に少なくなるため、多忙なビジネスパーソンも歯列矯正をスタートするハードルが低くなるメリットがあります。
・見た目の影響が少ない
ゴムでワイヤーをブラケットに固定する場合、食べ物などでゴムが変色することが多いです。
新型コロナウイルスの影響でマスク生活になったことから、ワイヤー矯正でも普段の生活では目立ちにくくはなっています。
それでも、マスクを全く外さないわけではないため、気になる方は少なからずいらっしゃるかと思います。
・マウスピースはいつでも取り外しが可能
ワイヤー矯正をすることのできない業種があります。また、人前で話す業種の方もワイヤー矯正を受けることがダメではなくても、
仕事柄気にされる方も多いです。ワイヤー矯正の場合、仕事などで取り外しができないのは大きなデメリットになるでしょう。
ワイヤー矯正は取り外せなくても、マウスピースは取り外しが可能です。
仕事などでマウスピースを装着されていることを知られたくない時は外すこともできます(ただし、マウスピースを取り外している時間が長いと思うように歯が動かないリスクはありますので、注意は必要です)。
・歯を削らなくても改善できる
すきっ歯の場合、歯の表面にセラミックを貼り付けるラミネートベニアによる治療があります。ラミネートベニアの治療を受ける場合、
歯の表面を薄く削る必要があるので、健康な歯を削ることに抵抗を感じる人には不向きと言えます。
すきっ歯による歯と歯の隙間の場合、部分矯正により隙間を閉じることができる可能性は高いです(歯を削らなくても改善できます)。
・歯磨きしやすい
ワイヤーによる部分矯正の場合、取り外しができないため、歯間ブラシなども上手に使用しなければ、汚れがとれることはありません。
マウスピースの場合、歯磨きや食事の際は取り外すため、歯磨きに関しては普段行っている歯磨きと変わりません。フロスの使用も可能です。
3. どのような人に部分矯正が適しているのか
部分矯正自体はマウスピースでもワイヤーでも可能ですが、マウスピース型の装置による部分矯正に向いている人を紹介します。
・ワイヤー矯正が職場の決まりでできない場合
一部の接客業ではワイヤー矯正が禁止されている場合があります(歯の裏側にブラケットを装着する裏側矯正であれば許可が下りることもあるようですが、
費用が高くなり話しにくいなどのデメリットもあります)。
透明なマウスピースを使用する歯列矯正であれば、取り外しも可能で会話をしていてもマウスピースを装着していることを知られることはさほどありません。
・仕事が多忙で通院が定期的にできない場合
ワイヤー矯正の場合、月1回の通院が一般的に必要となります。引越しをすると遠方より通院し続ける必要があります。
マウスピース矯正であれば自宅で新しいマウスピースを交換して装着することになるので、ワイヤー矯正よりも通院頻度は少なくなります。
・奥歯の噛み合わせに問題がない場合
前歯のみの部分矯正をする場合、奥歯の噛み合わせや歯並びに大きな問題が無い方が望ましいです。奥歯の噛み合わせをいじらず、
前歯だけを部分的に矯正するマウスピース矯正サービスが普及しています。
・上の前歯の真ん中のすきっ歯
上の前歯の真ん中に隙間ができるすきっ歯(正中離開・上イラスト)は、最もマウスピース矯正向きです。
歯をきれいに並べるためのスペースがある可能性が高いため、歯と歯の間を研磨する歯間研磨(IPR)の量も少なくなります。
最後に、前歯の歯並びを部分的に整えるマウスピース矯正のデメリットについても少し触れておきます。
・軽度から中等度の歯並びの不正のみに対応
八重歯や出っ歯の度合いが強い場合、歯間研磨だけでは綺麗に歯を並べるだけのスペースが作れません。きちんと改善する場合、抜歯が必要になることがあります。
加えて、歯の強いねじれ(捻転)や深い噛み合わせ(過蓋咬合)、上下の歯並びの真ん中のずれ(正中偏位)の改善に関してはマウスピース矯正は苦手とされています。
・奥歯の歯並びや咬合の問題は改善しない
マウスピースによる前歯の部分矯正を行っても、奥歯の歯並びや咬合の問題はそのままです。後で、「奥歯も矯正すれば良かった」とならないように、歯科医師と相談し、
しっかりと考えて矯正治療を始めましょう。
・骨格的な問題は解決しない
受け口(反対咬合)や骨格的問題による出っ歯(上顎前突)など、骨格的な問題がある場合、全顎矯正のみでの改善が難しいケースがあります。
全顎矯正での治療が難しい場合、外科手術が必要になりますが、当然部分矯正での改善も難しいです。
4.マウスピースによる部分矯正まとめ
新型コロナウイルス感染症の影響でマスク生活になり、矯正歯科治療を始めている患者さんが増えています。 マスク生活が当たり前となり、マウスピース矯正ではなくワイヤー矯正を選択して歯列矯正をスタートする方も多くいらっしゃいます。
最近、普及している安価なマウスピース矯正サービスは前歯中心の部分矯正が多いです。奥歯までしっかり治したい方の要望を叶えるものではないかもしれません。 安いからという理由のみで矯正をスタートせずにしっかりと比較検討を行うことをお勧めします。
ただ、「奥歯の歯並びは整えなくて良いけど、前歯だけの歯並びは整えたい」「前歯の歯並びだけでも整えて笑顔に自信が欲しい」「ビジネスパーソンとしての身だしなみを整えたい」などの希望や願いを持つ方もいらっしゃるでしょう。前歯の歯並びだけでも矯正したいのであれば、マウスピース矯正による前歯の部分矯正の治療を受けて良いかもしれません。 前歯だけの矯正を行った後に満足しない場合(奥歯もやっぱり矯正したくなったなどの要望が出てきた場合など)は全顎矯正を検討する、という考え方もあります。
新型コロナウイルスの影響で、ZOOMやLINEのツールを利用したマウスピース矯正サービスが非常に人気となっています。 サービスを実際に受けている方に話を聞いたところ、オンラインで24時間歯科医師に相談できるサービスが良かったとのことでした。 新型コロナウイルスに感染したくないために歯科医院を受診したくない方に好評の矯正サービスのようです。
特許を取得していたマウスピース矯正装置の特許が一部切れたことにより、前歯の部分矯正を中心としたマウスピース矯正サービスが登場していますが、今後も新たな矯正サービスが増えていくことでしょう。 インターネットでぜひ各社の前歯の部分矯正サービスの内容と他社との違いを調べ、ご自身に合ったサービスを選択するようにしましょう。
【監修歯科医師】
- 歯科医師:古川 雄亮 先生
- 国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事
- 歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加
- 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
[参照URL] https://www.nature.com/articles/s41598-019-51077-0
記事提供
この記事は、株式会社メディカルネット(東証グロース上場)の提供でお届けしております。社内の歯科医師、及び、歯科衛生士、歯科技工士による監修のもと記事の作成を行っております。
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