歯科?エステ?格安ホワイトニングの落とし穴
ホワイトニングはいわゆる歯を白く治療ですが、元の色よりもさらに白くしたい場合は、歯医者さんで受ける「歯科ホワイトニング」がおすすめです。
中には、エステなどで受けられるセルフホワイトニングもあり、歯科ホワイトニングよりも低価格で受けられますが、使う薬剤などの違いなどによって歯を白くする効果は異なります。
低価格で受けられるホワイトニングでは、思ったほどの効果が得られないかもしれません。まずは歯科ホワイトニングとエステなどのホワイトニングの違いを知り、自分に合ったホワイトニングを選びましょう。
セルフホワイトニングは白くならない?
エステで受けるホワイトニングや自分自身でサロンでホワイトニングを行うことを「セルフホワイトニング」といいます。
歯医者さんでもらった薬剤を自宅で自分自身で使い行うホワイトニングは「ホームホワイトニング」といい、セルフホワイトニングとは異なります。
歯医者さんで行うホワイトニングとセルフホワイトニングは何が違うのでしょうか?
わかりやすい違いは価格だと思いますが、価格の違いは歯を白くする仕組みの違いともいえます。
自分自身の本来の歯の色よりも白くできるのは歯医者さんで行う「歯科ホワイトニング」です。
歯医者さんでは歯を内部から漂白するために必要な医薬品である「過酸化水素」を歯科医師の管理の下で使用できますが、エステでは歯科医院と同等の濃度の薬品は取り扱いできません。
(歯科医院で歯科医師の下で取り扱いが可能な薬剤を歯科医師がいないエステで取り扱っている場合は違法ですので注意してください。)
セルフホワイトニングは、多くは「ポリリン酸」と呼ばれる成分で歯の表面についている着色汚れを除去し歯を白く見せています。
お茶やコーヒーなどで付着したステインは取り除けても、歯の内部などの黄ばみまでは白くできません。
漂白効果をうたっているものは、そのエステ独自のものとなるので注意が必要です。
セルフホワイトニングと歯科ホワイトニングは、漂白する方法や仕組みから異なるため、自分の希望するホワイトニングはどちらかをよく見極めましょう。
歯科ホワイトニングとは
歯医者さんで受けられるホワイトニングは、主に過酸化水素と呼ばれる成分を含んだ薬剤を使用しています。
歯科医院で使用できる過酸化水素は、歯科医など限られた免許を持っている人の管理下でなければ法律上使用できないことになっています。
過酸化水素はいわゆる漂白剤と呼ばれるもので、3%程度の濃度の場合はオキシドールやオキシフルといった商品名でよく利用されています。
高濃度の過酸化水素は人体へ有害な影響を及ぼすことがあり、取り扱いには危険性が伴います。
歯医者さん施術を受ける「オフィスホワイトニング」では濃度は35%程度の薬剤を使用していますが、口腔内に使用する上で大きな問題はありません。
皮膚や歯茎など粘膜につくと炎症を引き起こす恐れがあるため、ホワイトニング前に歯茎をカバーするなどして慎重に扱います。
自分自身で行う「ホームホワイトニング」は歯医者さんで施術を受けるオフィスホワイトニングに比べ、過酸化水素の濃度は低い薬剤を使うため、安全性に問題はありません。
ですが、低い濃度でも使い方を誤るとお口の中のトラブルにつながりますので、必ず歯科医師の指示通りに使用してください。
似てるようで大きく違うホワイトニング
ここでは、歯科ホワイトニングとセルフホワイトニングで、それぞれどのような処置をしているのか見ていきましょう。
●歯科ホワイトニング
1.カウンセリングで希望の白さやお悩みなどをヒアリングする
2.歯の検診、クリーニング
(必要があれば虫歯や歯周病の処置)
3.歯茎を保護する
4.薬剤を歯に塗布する
5.ホワイトニングメニューに合わせて光を照射する
6.何度か治療を繰り返し、希望の白さになったら終了
●セルフホワイトニング
1.カウンセリングで施術に関する説明を受ける
2.施術前に自分で歯磨きをする
3.口をゆすぎ、自分で歯に薬剤を塗っていく
4.自分でLEDライトを照射する
5.数セット繰り返し、最後に自分で歯磨きして口をゆすいで終了
薬剤を塗ることや、ライトを当てるといった行為など、同じような処置をしているようにも見えますが、 実際は薬剤の成分や濃度などに大きな違いがあります。
まず、セルフホワイトニングはほとんどの工程を、患者さんが自身で行うという点です。 これは歯科医師法という法律で、歯科医師や歯科衛生士でなければ、患者さんの口元に触れたり口の中に手を入れる行為が法律で禁止されているためです。
また、使用している薬剤も違います。歯科ホワイトニングは過酸化水素を使用できるのに対し、セルフホワイトニングでは重曹やポリリン酸など、 人体に対して効果が緩やかなものを成分としています。
光の照射機も、歯科ホワイトニングでは医療機器として扱われている装置を使用することができます。
歯科ホワイトニングとセルフホワイトニングでは、薬剤の成分や使用できる装置などの範囲が大きく異なります。
「歯の漂白をする」ホワイトニングをするためには
歯の漂白をする過酸化水素などを含んだ薬剤は、医師免許を持つ人でないと取り扱えません。 また、口元に触れるのも歯科医師や歯科衛生士の資格がなければいけません。そのため「歯の漂白をするホワイトニングを受けたい」という場合は、 歯科医師や歯科衛生士によるホワイトニングを受けるということになります。
オフィスホワイトニングでは主に過酸化水素を、ホームホワイトニングでは主に過酸化尿素による薬剤を使用します。 どちらも過酸化水素を主成分としているので、こうした薬剤も歯科医師が取り扱うことになります。
私の通ってるのは歯科?エステ?
もし、あなたの受けているホワイトニングが、歯科ホワイトニングなのか、セルフホワイトニングなのかわからない場合は、まず使用している薬剤について聞いてみるとよいでしょう。
30%程度の過酸化水素が主成分であれば、歯を漂白する歯科ホワイトニングであり、重曹やポリリン酸、炭酸カルシウムといったものが主成分であればセルフホワイトニングになると考えられます。
エステでは「独自の薬品」と言うかもしれませんが、歯科ホワイトニングであれば「過酸化水素」と答えられるはずです。
また、支払っている金額から推察することもできます。
一般的に、歯医者さんのオフィスホワイトニングの相場が30,000~50,000円、またホワイトニングを専門としている歯科では5,000~30,000円となります。
一方のセルフホワイトニングは、1回あたりの価格がおよそ5,000円といわれています。
(2020年11月 株式会社メディカルネット調べ)
このほか、ご自身で薬剤を塗り光も照射しているようであれば、セルフホワイトニングにあたるのではないでしょうか。
効率的なホワイトニング
さまざまなホワイトニングの方法がありますが、受ける方の希望や生活習慣に合わせて組み合わせることで、より効果的に歯を白くすることもできます。
歯科ホワイトニングの中には、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングの良いところを組み合わせたデュアルホワイトニングと呼ばれるものがあります。
これは、まずオフィスホワイトニングで希望の白さにした後、継続的にホームホワイトニングを行うことで白さを長持ちさせることができます。
白さをチェックして、希望の色より暗くなってしまったら再びオフィスホワイトニングを受ける、ということを繰り返すものです。
より早く歯が白くなるだけでなく、持続性も兼ね備えるので、短期間の治療で高い効果を得られます。 場合によっては、オフィスホワイトニングを繰り返すよりも低価格で白さをキープすることができる可能性がありますので、歯科医師に相談してみましょう。
また、オフィスホワイトニングによって歯の漂白を行い、合間に着色が気になる時はセルフホワイトニングを併用するという方法もあります。
セルフホワイトニングによって、着色汚れを取り除くことができるため、ある程度の歯の白さを継続することができます。
歯科ホワイトニング後の後戻りの予防はできません。
エステでのホワイトニングを何度も繰り返しても、歯の内部を漂白するようなホワイトニングの白さは得られないとされています。
また、1度のセルフホワイトニングは低価格でも、繰り返しエステでのホワイトニングを受けていては、費用もかさんでしまいます。
1度の費用がおよそ4,300円(株式会社メディカルネット調べ 全国7サロン平均価格)とすると、10回受けると43,000円です。
歯科ホワイトニング(オフィスホワイトニング)の平均価格は15,000円~70,000円のため、歯の白さだけでなく通う時間、費用、効果なども考慮すると、 歯科ホワイトニングを受けるほうが効率的かもしれません。
≫ホワイトニング・審美歯科治療の値段は?治療項目別に平均費用についてまとめました!(ホワイトニングの平均費用)
現在「エステでホワイトニングを何度も行っているけれど思うように歯が白くならない」とお悩みの方。
歯科医師に希望の白さや予算を伝え、歯科ホワイトニングを検討してみませんか?
【監修歯科医師】
- 歯科医師:古川 雄亮 先生
- 国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事
- 歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加
- 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
[参照URL] https://www.nature.com/articles/s41598-019-51077-0
記事提供
この記事は、株式会社メディカルネット(東証グロース上場)の提供でお届けしております。社内の歯科医師、及び、歯科衛生士、歯科技工士による監修のもと記事の作成を行っております。
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