市販のホワイトニング製品って効果はあるの?黄ばみはとれる?
口元は、目元と同様に人の印象を大きく左右する要素のひとつです。「人の印象は出会って7秒」「第一印象で決まる」といわれるように、歯を白くしておくことは第一印象を良くするために大切なことだといえます。
歯を白くするには、歯科でのホワイトニングと市販のホワイトニング商品があります。「手軽に歯をきれいにしたい!」と考えている方へ、市販のホワイトニング効果とはどういうものか、市販品の種類について、歯科医院でのホワイトニングとの違いなどについて説明します。
1. 歯科ホワイトニングとは
加齢や着色などによって黄ばんできた歯を白くする治療を、ホワイトニングといいます。
歯に塗布した薬剤によって歯の内部にある色素を分解します。歯を漂白して白く美しい歯にしていきます。
ホワイトニングは、一般的に「オフィスホワイトニング」と「ホームホワイトニング」の2種類があります。
オフィスホワイトニング
歯科医院で行うホワイトニングで、過酸化水素と呼ばれる医薬品成分を含有した薬剤が多くの場合に使われます。過酸化水素は水と反応することで活性酸素が生成され、着色汚れや黄ばみを分解していきます。
また、歯科医院では特殊な光を照射して過酸化水素の化学反応を促進します。即効性の高さが特徴です。
ホームホワイトニング
歯科医院で薬剤と個人に合わせて作製したマウスピースを受け取り、自分で毎日使用する方法です。
ホームホワイトニングで使用する薬剤には、多くの場合は過酸化尿素という成分が含まれており、化学反応の過程で過酸化水素に変化するという性質をもっています。
歯の白さを実感するまでには少し時間がかかりますが、色が元に戻りにくいという長所があります。
過酸化水素を配合している薬剤でホワイトニングが行えるのは歯科医院のみです。
過酸化水素と過酸化尿素は医薬品医療機器等法(旧:薬事法)※により、特定の資格有資者しか取り扱えません。
※医薬品医療機器等法
正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」。
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の品質や有効性、安全性の確保や、安全に使用するための運用を定めています。
2. 市販製品のホワイトニングとは
上記では歯科医院で受けられるホワイトニングをご紹介しましたが、ホワイトニング効果を得られるとされる歯磨き粉やマウスウォッシュなど、市販のホワイトニンググッズもあります。
しかし、歯科医院で使用、購入するような過酸化水素や過酸化尿素といった歯の漂白成分は、市販の製品では配合できないことになっています。
そのため、歯科医院で受けられるホワイトニングに比べると効果が弱い傾向にあり、その代わりに着色を防止する成分や、着色の原因となるステインを剥がしやすくする成分などが含まれているものが多く見られます。
また、マウスウォッシュにも同様の効果を謳う製品が販売されています。
3. 市販のホワイトニングに含まれる成分
市販のホワイトニンググッズの成分として、代表的なものとその効果は以下のようなものがあります。
・ピロリン酸ナトリウム
付着したステインを剥がれやすくし、浮き上がらせる効果があるといわれています。
・ポリリン酸ナトリウム
歯の表面に付着した汚れを浮き上がらせるとともに、少ない刺激で歯の内部を漂白する効果を高めるとされています。
・ハイドロキシアパタイト
歯の表面成分とほとんど同じものとされており、歯を傷つけずに汚れを吸着しながら除去するといわれています。
・炭酸水素ナトリウム
いわゆる重曹のことで、自然界にも存在している物質で人体に害がないとされています。研磨作用によって汚れを落とすことができます。
4. 歯磨き粉以外にも!市販のホワイトニングの種類
市販のホワイトニンググッズは、歯磨き粉に限らずさまざまなタイプが登場しています。
・歯磨き粉
ホワイトニングを謳う歯磨き粉には、汚れを取り除いて着色を予防するポリリン酸ナトリウムのほか、美白成分であるハイドロキシアパタイトなどが含まれている傾向にあります。
製品によってはそのほかの独自の成分が含まれているものもあります。
歯磨き粉は一般的なペーストのほか、ジェルやパウダーなどさまざまな形状のものがあります。どの程度泡立つかや、表面を磨く研磨剤の粒の大きさなどは製品によって異なるため、磨き心地の良さを追求したい場合はさまざまな製品を試してみる、かかりつけの歯科医院で合っている歯磨き粉を聞いてみるのもよいでしょう。
・マウスウォッシュ(デンタルリンス)
マウスウォッシュのホワイトニンググッズは、ステインを洗い流す炭酸水素ナトリウムや、着色を予防するポリリン酸ナトリウムなどが配合されています。
マウスウォッシュには歯磨きをした後に口をゆすぐ「洗口液」と、ゆすいでから歯を磨く「液体歯磨き」の2種類があります。
洗口液は口をゆすぐだけと手軽なのが特徴です。
一方の液体歯磨きは、ペーストの歯磨き粉と比べると歯と歯の隙間や隅々まで成分が行き渡りやすいので、高い効果が期待できるとされています。
・ホワイトニングスポンジ
汚れを浮かせて落とすポリリン酸ナトリウムを含んだスポンジです。
コーヒーや茶渋などの着色が気になったとき、スポンジで歯の表面を磨くことで素早く汚れを落としてきれいにします。スポンジ状なので持ち運びしやすく、外出先でも使えるのが特徴です。
・家庭用ホワイトニング(市販)
歯科医院で行うオフィスホワイトニングでは、特殊な光を薬剤に当てて薬剤の化学反応を促進します。
近年このような照射を自宅で行える、セルフホワイトニングのグッズも市販されています。専用の薬剤とセットになっている、LEDライトが一体になったマウスピースなどで歯に照射。付着した汚れを取り除きながら、歯を傷めることなく白くしていくとされています。
一見、オフィスホワイトニングと同様の治療を家庭で実践できるので手軽に思えますが、歯科でのホワイトニングが過酸化水素を含んだ薬剤を使用できるのに対し、市販の家庭用のホワイトニングでは過酸化水素・過酸化尿素を配合した薬剤は販売できません。
市販の家庭用の場合は歯表面の汚れを落として、本来の歯の色に戻していく効果です。
・シールタイプ
有効成分を含んだシートを歯に貼り付け、一定時間おいてからシートを剥がし、お口の中に成分が残らないように歯磨きをします。
これを継続していくことで、歯の表面に付着した黄ばみなどの汚れが除去されるとされています。体に優しい自然活性炭成分などを配合して、低刺激の製品もあります。
・消しゴム
消しゴムのような固形で歯の表面をこすって歯をきれいにします。タバコのヤニやコーヒー、茶渋などの汚れに効果を発揮するとされています。 爽やかな天然ハッカを配合したものや、キシリトールを配合して虫歯予防を謳う製品もあります。
・マニキュア
ご家庭で行える、歯に塗るマニキュアのような製品もあります。
歯に塗ることで天然歯が白く見えるようになるほか、銀歯や被せ物も厚塗りをすることで白くできるため、ご自身の白い歯との見分けがつきにくくなるとされています。
マニキュアと似ている治療で、歯科医院で行うラミネートベニア治療があります。ラミネートベニアはつけ爪のような薄いセラミックを歯の表面に貼り付けるので、歯間の隙間も埋めることができるほか、見た目がより自然で美しくなります。
マニキュアは一時的に白くする製品のため、1~数週間で剥げたり削れたりします。
5. 市販のホワイトニング製品を使用する場合の注意点
さまざまなタイプのものが販売されているホワイトニンググッズですが、それぞれメリットだけでなくデメリットもあります。
デメリットを知らずに使用してしまうと、歯を傷付けてしまう原因となる場合がありますので注意して使用しましょう。
また、ホワイトニング効果を謳った製品であっても、市販のものは過酸化水素や医薬品を配合できないなどの制限があるため、もとの歯の色よりさらに白くするのは難しいと考えられます。
・歯磨き粉
研磨剤を含む製品を過度に使用すると、歯のエナメル質が削れてしまったり、知覚過敏になる可能性もあります。
・マウスウォッシュ(デンタルリンス)
マウスウォッシュには、アルコール入りの製品もあります。アルコール入りのマウスウォッシュはゆすいだ後の爽快感が得られますが、口内炎やお口の中に傷などがある場合はしみる可能性があり、注意が必要です。
・スポンジ
研磨剤を含有しているスポンジの場合は、歯のエナメル質や歯茎を傷つけてしまうこともあります。
・消しゴム
消しゴムの場合は研磨剤を配合して歯を磨くものもあるので、過度に使用したり歯茎に当ててしまうと、歯や歯茎を傷付けてしまう恐れがあります。
・マニキュア
歯を削ることなく白くできますが、歯に厚みが出てしまうほか、噛み合わせ面や歯間には塗れないといったデメリットがあります。
また、食事をした時に剥がれたり削れたりするなど、効果は一時的です。
6. ホワイトニング製品でよくある質問・疑問
Q1.ホワイトニング歯磨き粉を使っていたら、歯がしみるようになりました。
A.歯磨き粉に研磨剤が含まれている場合、軽度の虫歯になっている部分を磨いたり、露出している歯根部を強く磨いたりすると、歯がしみることがあります。
粒の大きな研磨剤が含まれている歯磨き粉や、多量の研磨剤が含まれている歯磨き粉を使っている場合は使用を中止し、歯科医院で検査を受けましょう。
※知覚過敏の原因には色々あります。
Q2.短期間でホワイトニングをしたいと考えています。
A.市販のホワイトニング効果を謳った製品は、長期的な使用によって汚れを除去することを想定しているものが多くなります。
歯科医院でホワイトニングの治療を受けるか、歯のマニキュアを塗って一時的に白く見せると即効性が期待できます。
Q3.家でできるホワイトニングと、歯科医院でやるホワイトニングって効果は同じ?
A.市販の製品は、医薬品医療機器等法(旧:薬事法)により、過酸化水素や過酸化尿素といった漂白成分を配合できないことになっています。
歯科医院で行うホワイトニングであれば、現在の歯よりもさらに白く美しい見た目にすることができますが、市販の製品によるホワイトニングは、歯の表面の着色を取り除いてもとの色に戻すものと考えるとよいでしょう。
Q4.掃除に使うメラミンスポンジで歯をホワイトニングできるって本当?
A.メラミンスポンジは、メラミン樹脂から作られたスポンジです。メラミン樹脂は硬度が高く、硬い樹脂で物理的に削り取っていきます。
そのため、歯に使用すると表面のエナメル質まで削り取ってしまい、知覚過敏の原因になります。
歯には絶対に使用しないようにしてください。
Q5.海外の製品を使っても歯に問題はないの?
A.海外のホワイトニング歯磨き粉には、日本では医薬品医療機器等法(旧:薬事法)によって禁止されている過酸化水素や過酸化尿素が含まれることがあります。
ただし、日本人は欧米人に比べてエナメル質が薄く弱いといわれており、こうした強い成分を独断で使用することで歯茎や歯にダメージを負い、知覚過敏になる可能性もあります。
個人で購入・使用して歯に問題が起きた場合、歯科医院で適切な処置を行えない可能性もあります。
Q6.ホワイトニング薬剤は薬局で買えますか?
A.過酸化水素や過酸化尿素が含まれるホワイトニング剤は、薬局で購入することができません。
薬局などで手に入るホワイトニンググッズは、漂白作用のある成分が配合されていない歯磨き粉やマウスウォッシュ、歯のマニキュアなどに限られます。
過酸化水素や過酸化尿素が配合されているホワイトニング薬剤は、歯科医院で購入ができます。
まとめ
ホワイトニング効果があるとされる市販品は、さまざまなタイプがあります。
あなたのライフスタイルに合わせて選択してみてください。
元の歯の色よりもさらに白く美しくしたいという場合は、歯科医院でのオフィスホワイトニングを受けることをおすすめします。
また、ホワイトニング効果をより高めるのであれば、着色を予防することが大切です。コーヒーや赤ワインといった着色の強い飲食の頻度を減らしたり、ステインが付着した時にはホワイトニング効果のある歯磨き粉を使用して着色を避けるようにするとよいでしょう。
このほか、市販品を歯科医院でのホワイトニングと併用する場合は、必ず歯科医師・歯科衛生士に相談してから使用しましょう。
【監修歯科医師】
- 歯科医師:古川 雄亮 先生
- 国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事
- 歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加
- 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
[参照URL] https://www.nature.com/articles/s41598-019-51077-0
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