転んで歯が抜けた!折れた!」時はどうすれば良いの?
「子供が転んで歯が抜けちゃった」、「運動中に転んで、前歯が欠けちゃった」など、突然の歯のトラブルに見舞われた経験をお持ちの方は多いと思います。
歯が抜けた・折れた時にどんな対応をすれば良いか分からない方も多いでしょう。特に、歯が抜けた後は、迅速な対応をすることが非常に大切です。
この記事では、歯が抜けた・折れた時の対応方法を中心に紹介していきます。
▲抜けた歯は口の中(歯と頬や舌の間)に入れると乾燥しにくいです
歯の保存は「牛乳」か「口の中」に
抜けた・折れた歯を乾燥させることは、歯の根っこ(歯根)に付着している歯根膜が死んでしまう原因となります。この歯根膜が死なないことは、再び口の中に歯を戻すために非常に重要なことです。また、抜けた歯の歯根は触れずに、歯の上の部分(歯冠)を保持するようにしましょう。
一般的に、歯の保存は生理食塩水・牛乳にひたすことが良いとされています。しかし、生理食塩水を常備している方は中々いらっしゃらないと思うので、コンビニやスーパーなどでも購入しやすい牛乳が良いかと思います。
牛乳がすぐに入手できない場合は、口の中に入れておくことをおすすめします。入れる場所は、下の歯列と頬の間や舌の間、戻せるなら歯が抜けた穴です。口の中は唾液が分泌されているので、歯を乾燥させにくいです。
歯を乾燥させない上で1点だけ注意してもらいたいのは、水道水に浸けないことです。水道水の中の成分により歯根膜が死んでしまうことがあります。しかし、地面や床に落ちた場合など水洗いせずに口の中に入れることに対して抵抗がある方もいらっしゃると思います。その場合、軽く水洗いするだけに留めて、口の中に入れることをおすすめします。
理想は30分以内に最寄りの歯医者さんへ
歯を牛乳や口の中に入れて乾燥させないことに加えて大事なのが、いかに早く歯医者さんを受診するかということです。理想は30分、できれば、2~3時間以内に歯医者さんで適切な処置を受けることが大切だと言われています。
仮に歯が抜けて3時間を経過してから歯医者さんを受診し処置を受けた場合、口の中に歯を戻し固定しても、歯根が吸収されて3~5年で脱落してしまうケースもあります。
インターネットで探せば、24時間対応している歯医者さんもあります。夜間に歯が抜けた・折れた場合は、最寄りの24時間対応している歯医者さんに行くか、歯科のある病院を受診することをおすすめします。
▲抜けた歯を隣の歯とワイヤーと接着剤を使って固定することが多いです
抜けてしまった歯の治療の手順
ここでは抜けた歯の治療手順にフォーカスして説明します(折れた歯の治療手順に関しては、歯の折れ方により治療のガイドラインが決められているので、この記事では割愛します)。
・医療面接(歯が抜けたのがいつ・原因など)
・検査(口腔内診査・レントゲン撮影など)
・歯の固定(ワイヤーやプラスチックで抜けた歯の隣の歯と約1ヶ月固定)
・咬合調整(反対側の歯と咬まないように)
・歯の神経の治療(場合によっては行わないこともあり)
歯の神経の治療を含めなくても、月単位での歯科治療が必要になることが多いです。固定した歯の経過を定期的に診てもらう必要があるので、かかりつけ歯科医を持っていると良いと思います。
▲歯が欠けた場合は歯の破片を接着することができる場合があります
気になる治療費は?
抜けた歯を元に戻して固定することは保険診療で行うことが可能です。仮に、転んで前歯が1本抜けてしまった時は、下記の検査・治療に基づき、当日の治療費が算定されます。
・初診料
・レントゲン撮影料(歯を支える骨の骨折などを確認する)
・再殖料(抜けた歯を元に戻す)
・固定料(抜けた歯を隣の歯と固定する)
子供であれば自治体によって負担額が変わりますが、大人で3割負担であれば、元の場所に戻して固定するために7,000円位はかかるでしょう。結構お金がかかると思う方もいらっしゃるかもしれませんが、インプラントにしたときの治療費は一般的に50万円以上かかる場合もありますのでそれに比べれば、安いでしょう。知識としてぜひ頭の片隅に入れてもらえれば、幸いです。
▲抜けてしまった歯を戻しても、歯の神経が死んで青白くなることがあります
歯が抜けた・折れた時のまとめ
歯が抜けてしまったら、歯を水道水でゴシゴシと洗ったりしない方が良いとされていますので、歯を乾燥させないように、生理食塩水や牛乳に浸けるか、口の中(歯と頬の間など)に入れて、出来るだけ早く最寄りの歯医者さんに診てもらいましょう。
特に子どもの場合、歯を支える骨(歯槽骨)が軟らかいため、転んで前歯を打った時に歯が抜けることもあります。歯を支える歯槽骨が骨折している場合もありますので、歯医者さんでレントゲンも必ず撮影してもらって下さい。歯が折れた時も、その箇所を詳しく調べるためにレントゲン撮影は必要になります。
大人の場合は一般的に歯が抜けるより折れることの方が多いです。歯が大きく欠けた場合は歯の神経の治療も必要になります。折れた歯の破片を歯医者さんに持っていけば、そのままくっつけて対応することも可能でしょう(歯の破片も生理食塩水や牛乳に浸けるか口の中に入れることをおすすめします)。歯の破片を失くしたり、飲み込んだりしないように注意しましょう。
また、抜けたり折れたりしてしまった歯を、早く治療したとしても運悪く歯の神経が死んでしまったために歯が青白く変色することもあります。ホワイトニングでも歯の色を改善することが難しく、見た目を改善するためにはセラミックなどの保険外の被せ物の治療が必要になることがあります。
かかりつけの歯医者さんがあれば、慌てふためくことも少ないです。日中であれば、電話で歯が抜けた・折れた時の対応方法を相談しやすいのではないでしょうか。なので、普段歯に何も問題が無くても、歯医者さんで定期的な歯科検診を受診するようにしましょう。
※治療結果は患者さんによって個人差があります。